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2021-22 Yogibo WEリーグ 第18節  日テレ・東京ヴェルディベレーザ vs ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
2022.04.23(土)18:00 KICK OFF

COLUMN

先駆者・澤穂希が語った16年前の金言

文=馬見新拓郎

今から約16年前の2006年3月17日、筆者はヴェルディのクラブハウス内で、当時ベレーザに所属していた澤穂希さんにインタビューする機会を得た。澤さんはアメリカの女子プロサッカーリーグで活躍していたが、同リーグが休止になったことを受け、ベレーザに復帰して3年目のシーズンを迎えようとしていた。澤さんは以前から個人としてプロ契約を結んでいたが、このインタビューの前には、浦和レッズレディースでも山郷のぞみさん、安藤梢選手、柳田美幸さんが、チームとプロ契約を結ぶことが発表されていた。

2004年のアテネ五輪でなでしこジャパンがオリンピック初勝利を挙げ、ベスト8に進んだインパクトも手伝って『なでしこ』が世間に浸透、選手個人レベルでは「プロ化の波」が日本国内でも徐々に広がっていった時期だ。奥寺康彦さんや木村和司さんなど、個人のプロ選手が増え、そこからJリーグへと展開していった男子のように、いずれは女子もプロ化されていくのではないか。女子サッカーの取材を本格的に始めたばかりの筆者は、そんな期待を抱いてクラブハウスを訪ねたことを覚えている。

WEリーグ開幕を前に、約16年前のインタビュー原稿を改めて見る機会があったのだが、そこには澤さんの金言がいくつかあった。一部を抜粋し、紹介しようと思う。

──女子のプロ選手が増えることを、澤選手はどのように感じていますか?
うれしいですよね。プロ選手が増えることによって、女子サッカーが少しずつ認められていくと思いますし、子どもたちがもっと夢を見られる。そういう(プロ)選手が出てくると目標にもなるじゃないですか。

──女子リーグもいずれはプロ化されていくでしょうか?
自分が現役選手の間はないだろうなと思いますけど、いずれレベルが上がって、プロ化される環境ができたらいいなと思います。自分たちの先輩がいろいろやってきてくれたおかげで自分もプロになれたので、受け継がれたことを今の若い子にも伝えていきたいですし、どんどんそういうふうにつながっていけばいいなと思います。

──女子のプロ化に賛成ですか?
はい。

──アメリカ女子プロリーグ(WUSA)の消滅というつらい経験をしていますが、それでも「賛成」なのですね。
アメリカでプロリーグがうまくいかなかったのは、初めてだったというのもありますし、せっかくスポンサーなどが付いてくれていたのにお金の使い方や感覚がずれていたというのがあります。それらをちゃんと考えてやれば、うまくいかないこともないかなと思います。

──今季からプロになる女子選手にアドバイスがあればお願いします。
プロになったからには、これからの若い選手のお手本になるように過ごしてほしいと思います。プロは結果を求められますし、自己管理はもちろん、サッカー以外の場所でも誰が見ているか分からないですからね(笑)。

 

「(プロリーグは)自分が現役選手の間はないだろうな」と話していた澤さんの先見の明にも驚かされるが、「プロは結果を求められる」という言葉に重みを感じる。澤さんは2015年の引退会見でも、現役選手に期待することとして「結果」という言葉を何度も繰り返した。結果を残し続けてきた彼女ならではのメッセージに違いない。

プロ化の波は2021年にWEリーグという形になり、ベレーザもついにプロチームになった。だが、現在の順位に満足している選手は一人もいないだろう。それこそが、澤さんの時代から続くベレーザ・イズムだ。

ベレーザの誇りを取り戻す戦いを期待しながら、リーグ終盤の残り5試合を見守りたいと思う。