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2021-22 Yogibo WEリーグ 第21節  日テレ・東京ヴェルディベレーザ vs マイナビ仙台レディース
2022.05.15(日)14:00 KICK OFF

COLUMN

今季の戦いを次なる黄金時代の序章へ

文=馬見新拓郎

WEリーグの1年目が幕を閉じようとしている。初代女王の座を狙って2021年2月に始動したベレーザも、約1年半にわたった長いシーズンを経てまもなく一区切りを迎える。

今季はここまで9勝3分6敗の3位で、WEリーグのタイトルをI神戸に譲った。ベレーザの過去の輝かしい栄光を思えば、決して満足のいくシーズンではなかったと言える。おそらくサポーターの方々も同じ意見ではないかと思う。

ここまでの18試合でベレーザが放ったシュートは計291本。これはリーグ最多であり、CKの数も148本でリーグ最多だ。それだけ多くの攻撃を仕掛けたということだが、残念ながらそれが必ずしも多くのゴールには結びつかなった。

守備面においても、被シュート数は115本でリーグ最少。今季のWEリーグは降格がなかったため、全体的に攻撃に重点を置くチームが多かった印象だが、そんな中でもベレーザは相手にあまりシュートを打たせない堅実な戦いぶりが目立った。今後はそういった数字を「勝ち点」に結びつけることが求められるが、これらは今季の残り2試合と来季に向けての課題になるだろう。

そんな中で今季の大きなトピックスの一つに挙げられるのが、皇后杯でのメニーナの躍進だ。4回戦でI神戸を破って注目を浴びると、その後は大宮Vも退けて準決勝に進出。千葉Lに敗れて決勝進出とはならなかったが、堂々のベスト4で大会を終えた。

特に大宮V戦では攻守で相手を凌駕するなど、内容も伴った勝利だった。しかし、メニーナの坂口佳祐監督は皇后杯での躍進はあくまでも通過点だと話した。「WEリーグのチームに勝って自信になったと思うが、自分たちがうまい、強いと思ってしまったらそこで成長が止まってしまう。この先にはベレーザがあって、なでしこジャパンがあって、世界がある。そこを目指してほしい」

今季はメニーナからGK野田にな、DF坂部幸菜、MF木村彩那、MF大山愛笑らがベレーザの戦力として次々とWEリーグデビューを飾った。その戦いの中で通用する部分も見せたが、成長しなければならないポイントも各々で見えてきたように思う。


メニーナから台頭した野田(左上)、坂部(右上)、木村(左下)、大山(右下)

2019年発行の東京ヴェルディ50年史の取材で、高倉麻子さん、加藤與恵さん、小林弥生さん、永田雅人ヘッドコーチといったベレーザOG・関係者の話を聞く機会があり、筆者は毎回「ベレーザはなぜ強いのか?」を質問した。その答えの1つ目か2つ目に必ず挙がったのが、メニーナの存在だ。国内はもちろん、世界の舞台でも通用する選手を育成、輩出し続けるメニーナという組織は唯一無二だ。それはWEリーグを制したI神戸でさえ、着手できていない部分と言える。

ベレーザは1989年の第1回日本女子サッカーリーグで清水FCレディースに優勝をさらわれたのを筆頭に、節目のシーズンでなぜかリーグ優勝と縁遠い。2004年のアテネオリンピックで初のベスト8進出を果たし、大きな注目を集めたシーズンはさいたまレイナスFCに優勝を譲った。なでしこジャパンがFIFA女子ワールドカップドイツ2011を制して世界一に輝いたシーズンもI神戸に主役の座を奪われ、なでしこリーグの締めくくりとして臨んだ昨シーズンは浦和の後塵を拝した。そしてWEリーグ初年度の今季も優勝には手が届かなかった。

しかし、ベレーザはそういった苦難を乗り越え、何度も黄金時代を築いてきた。先に書いたようにWEリーグ1年目は満足のいかないシーズンだったかもしれない。だが、メニーナの躍進が示しているように新しい芽は確実に育っている。

今季のこれまでの戦いと残りの2試合を、次なる黄金時代への序章としてほしい。