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MATCH試合情報

2014 Jリーグ ディビジョン2 第42節 - モンテディオ山形 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

前節の今季ホーム最終戦でJ2リーグ残留を決めたヴェルディ。苦しんだシーズンの締めくくりとなるシーズン最終戦は、敵地でのモンテディオ山形戦となった。相手はプレーオフ圏にとどまれるかどうかが懸っており、必勝を期して臨んでくる一戦。ヴェルディは金鐘必とニウドを出場停止で欠き、安在和樹も負傷離脱で抜ける苦しい台所事情の中、田村直也をセンターバックで起用するなど、トレーニングの中で試してきた布陣を思い切って採用する策を選んだ。

序盤、上位を相手にヴェルディが押し込まれる場面が想定されたが、プレーオフを意識して固さが見える相手を前に、カウンター気味に攻める形で何度かチャンスを作り出す。9分、自陣右サイドでのクリアボールがセンターサークル付近にいた平本一樹につながる。前掛かりになっていた相手の手薄な守備網を見るや、平本が反転してドリブルを仕掛けてDFを引きつけ、左サイドからスペースへ走り込んだ南秀仁にスルーパスを通す。南は前に出てきたGKの出端を挫くように、ワンタッチで合わせてゴール右へ流し込み、ヴェルディが幸先良く先制に成功した。相手の固さに便乗して追加点を挙げたいヴェルディだが、失点して目が覚めた山形が猛攻を繰り出し、すぐに劣勢に立たされてしまう。2分後の11分には、ロングボールで押し込まれ、バイタルエリアの密集でクリアし切れなかったボールを川西に拾われ、ミドルシュートを流し込まれて追いつかれてしまう。その後は勝利してプレーオフ進出を確実にしたい山形の猛攻にさらされ、自陣の深い位置での対応を余儀なくされる。

冨樫監督から檄が飛んだハーフタイムを挟んでも、状況は簡単には変えられない。前線から出足の鋭いプレスでパスの出しどころを限定してくる相手を前に、持ち前のショートパスをつないでいくサッカーが展開できない。自分たちのリズムを作れないもどかしい時間が続くが、最後の部分は全員が身体を張ってゴール前に幾重もの壁を敷いて撥ね返し続けた。今季リーグ戦初出場となるGK柴崎貴広が最後に立ちはだかり、相手のフィニッシュをしっかりとキャッチして二次攻撃をさせない攻守を見せた。思うように攻撃を組み立てられない状況を打破しようと、冨樫監督も積極的に交代カードを切る。高木大輔、永井秀樹、北脇健慈と攻撃的な選手を次々に投入し、選手の配置に変化をつけながら様子を窺う。すると、この交代策が終盤に入ってようやく結実した。試合終了間際の87分、左サイドから大きく逆サイドに展開すると、右サイドバックに入っていた高木が相手との競り合いに勝ってボールを前へと運んでいく。バイタルエリアに入って中央に鋭いパスを入れると、ペナルティエリア際ゴール正面にいた北脇が滑り込みながらワンタッチで合わせると、ボールはGKが伸ばした手の先を越えてゴールへと吸い込まれていった。大卒ルーキーが最終戦にしてつかんだ久しぶりの出場機会。メンバーに入れない苦しい日々を乗り越え、コツコツと努力を重ねた先にチャンスを掴んだ男は、雌伏の時を経てプロ初ゴールでチームを勝利へと導いた。

若手の抜擢、下位での低迷、指揮官交代、守備再建による浮上と激しい浮き沈みを経験した今季。その苦しみ抜いた経験を糧に、来季こそ若い選手の目覚ましい成長を契機に、J1復帰というミッションをクリアできるチームへの脱皮を目指す。

 

 

 

【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】

「今日のゲームは、相手がプレーオフ進出が懸かっていて、自分たちはJ2リーグ残留を決めたばかりで、もしかしたら皆さんは、私たちが少しほっとしてゲームに来るのではないかと思っていたかもしれません。しかし、自分たちは、未来を変えるためにも今日のゲームが非常に重要になることを認識していましたし、今日の目の前のゲームを勝つということで次が開けると思っていたので、今週はトレーニングのところから選手たちが本当に集中して取り組んでくれていました。実際に、出場停止選手、あるいは怪我人などが非常に多い中で、交代して入った選手も含めて、チーム全体が結果をこういう形で出せたというのは、ふだんのトレーニングから彼らが意識高く、手を抜かないでやってきたことが、結果に表れたのだと思っています。それに加えて、強い山形を相手に最後の最後まで戦えたこと、本当に選手たちを誇りに思います。また、遠くまで来てくれたサポーターたちが最後、ああやって選手たちと喜んでいる姿を、来年はもっともっとたくさんチームとして出せるようにしていきたいと思います」

――前節からゴールキーパーを含めて数名の選手交代がありましたが、今日の一戦に勝つためのメンバー編成だったのか、それとは違う意図があったのか?

「自分たちが山形のスカウティングをしながらも大事にしたかったのは、自分たちのストロングポイントを出していくこと。相手のストロングを見てしまうと、本当に山形が強かったものですから、自分たちがいかにボールを良い形で奪って、ポゼッションしながらゴールを目指していけるのかというところでメンバーを決めていきました。本当に最後の最後、前日の練習の最後の最後まで悩んだメンバーもいましたし、最後決断をしてこの18人でしっかり戦っていければと思ったメンバーです」

――残留を決めた後、最後の試合で勝てたということで、内容も含めて今後にどのようにつながっていくと考えていますか?

「自分たちがしっかりと戦うベースの力を、気持ちも含めて出すことによって、より自分たちが日頃トレーニングしている技術であったり、戦術であったり、走力であったりというのが出せる。それまでは戦う部分、人が見て分かりやすい部分をまずしっかりと自分たちがやれることで、来年、本当に上を目指して戦えるという自信が持てたのではないかなと考えます」

――今シーズン振り返っての収穫と今後への課題というのを教えてください。

「自分が監督になってからは11試合になるので、そこを振り返らせていただきたいと思います。自分がトップチームを率いるようになってから、本当にトレーニングのところでも実際に攻守を多くできるようなトレーニングメニューを組んできて、そこを選手たちがまずしっかりと、週末のゲームよりもハードにできたことが、週末のゲームにつながったのではないかなと。だから、失点が自分たちは11試合で6ですよね、6点しか取られてないんですけれども、実際に守備のトレーニングをたくさんしたわけでもないですし、むしろどちらかというと攻撃のトレーニングのほうが多い中で、普段の攻守のところをしっかりとやってきたところがゲームに出たのではないかなと思います。それは来年以降もずっと継続していかなければいけないと思っていますし、その中でまだまだ今日のゲームなんかも、自分たちのイージーミスでカウンターを受けてしまったり、カウンターを受けている最中にどうしてもまだゲームの中で慌ててしまう。つなげるところでクリアをしてしまって、また相手に拾われて二次攻撃を受けるとか、ゲームの中で一番大事な中央の部分をいかに消しながらというところが、まだまだ自分たちは若いチームなんだなと思いながら指揮していたので、そういうところはより戦術的にも発展していければなと感じています」

――今日勝利したのは、山形よりも何が上回ったのか、勝因についてお聞かせください。

「自分たちは本当に戦いに来ましたし、こういうたくさんの観客、いい雰囲気の中でやるということは、自分たちにとっては逆に喜びだったので、それが逆に、硬くなるというよりは解き放たれたような、外から見ていると山形さんの方が立ち上がり少し硬いのかなあというふうには思っていたので、そこで自分たちがフレッシュに――少しオープンなゲームにはなってしまったと思いますけれども――前に前に気持ちが向いていったところが最後に上回った、最後の結果に出た勝因かなというふうに考えます」

 

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