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MATCH試合情報

2015 明治安田生命J2リーグ 第42節 - セレッソ大阪 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

いよいよ今シーズンもリーグ戦の最終戦を迎えた。ヴェルディは6位のV・ファーレン長崎を勝ち点2差で追う7位。プレーオフ圏内の6位を目指すには、自分たちの勝利が絶対条件で、さらに6位の長崎が破れる必要があった。他の会場を気にする前に、まずは自分たちが勝つしか可能性を残す道はないという単純明快な状況。この緊張感溢れる試合に向けて、チームは開き直って非常に前向きなトレーニングを積んできた。終盤戦に入って勝ち点がとれていないが、それでもポジティブな雰囲気を維持したまま、厳しく質の追求を続けて、チーム全体がひとつにまとまって勝ち点3のために力を尽くしてきた。しっかりとした準備をしてきたチームは、スタメンの顔ぶれにも変化を加えた。2トップは平本一樹と杉本竜士で、左サイドMFにはアランを起用。ベンチも含めた総力戦に挑んだ。

序盤、出足の鋭さを生かして相手の攻撃の芽を摘んだヴェルディは、カウンター気味に前に出てチャンスを創出する。10分には右サイドのスペースに南秀仁が抜け出し、ファーサイドにクロスを入れる。これに飛び込んだアランがアクロバティックに合わせにいったが、ミートすることができなかった。しかし、ゴールこそ奪えなかったが、上位のセレッソ大阪を相手に堂々のサッカーで互角に渡り合う。しかし、前半の終盤に入るに入れて相手のカウンターに対して守備ラインを下げて対応し、やや守備が後手に回り出す。すると24分に左サイドを突破されてゴール前にきわどいボールを入れられ、飛び込んだセレッソ大阪の選手に押し込まれた。これはポストに助けられたが、徐々に相手の圧力の前に自陣の深いエリアで対応する場面を増えていく。そうして徐々に押し返されていった30分、クリアし切れずに連続してコーナーキックを与えると、最後はセレッソ大阪のCB茂庭にこれ以上ないタイミングで合わされてゴールをこじ開けられる。反撃に出たいヴェルディだが、攻撃はパサーと受け手の2人の関係だけで完結し、連動性と運動量が乏しく単発に終わってしまう。勝利に向けてゴールがほしいヴェルディだったが、前半の終盤にはライバルの長崎が先制を許すという情報が入り、プレーオフ進出への一つの条件がクリアになる可能性を持ってハーフタイムを迎えた。

ハーフタイムの冨樫監督の指示は攻撃面に比重を置いた。相手陣内のより深い位置にポジションをとる選手を使いながら、相手の守備網を突破していく狙い。そして、サイドを起点に崩していく際の動きについて各選手に細かく指示が出た。自分たちの未来を変えるべく、ビハインドを撥ね返す45分が始まった。序盤からゴールに向かう姿勢をより明確にしたヴェルディがペースを握った。球際で気持ちの入ったぶつかり合いを見せ、逆襲を食らいそうになる五分五分のボールをマイボールにし、分厚い攻撃を仕掛けていく。53分にはコーナーキックに合わせてアランのヘディングシュートがポストに直撃する不運も。ただし、それ以外の場面では、割り切って自陣バイタルエリアに人数を割いた相手の守備ブロックを崩し切れず、ボールを持ちながらシュートを打ち切れずにミスからカウンターを食らってしまう。そこに佐藤優也が立ちはだかった。攻撃にほとんどの人間を割いているため、背後のケアが手薄になる中、スペースを突破されて1対1の絶体絶命の場面を迎える。これを驚異的な反射神経でことごとくストップ。神懸かり的なセービングで後方からチームの逆襲の機運を盛り上げた。だが、逆転に向けて攻撃のギアを上げたいチームだが、またもセットプレーに水を差された。69分、コーナーキックからニアに入った茂庭に再び頭で合わされて失点。リードを広げられてからは、球際の争いは身を削るようなものになり、ヴェルディの選手たちは必死にマイボールにしては攻め込む作業を繰り返した。しかし、パスワークは守備ブロックを突破することはできず、効果的なシュートは1、2本のみで、ボールを動かしながらゴールネットを揺らすことはできず、今シーズンのヴェルディの戦いは幕を閉じた。

最終的には長崎が敗れたため、ヴェルディはどんな形でも勝っていれば、プレーオフ進出を果たせていた。しかし現実は、攻撃の決定打を欠く惜敗。一時は3位まで順位を上げながら、最終的にはプレーオフ圏内に勝ち点2だけ届かずにJ1復帰への道を断たれた。昨シーズンのことを思えば、こうした緊張感溢れる争いを続けてこられたことはかけがえのない財産になる。しかし同時に、勝ち切れなかったことが悔やまれる。多くの収穫と多くの課題を手にした今シーズン。その全てを来季の歓喜につなげるためにも、今日のこの悔しさを噛み締めたい。

 

【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】

――最低限の9位というノルマは達成しましたが、後味の悪い幕切れになりました

「本当に尻すぼみですね。本当に点を獲らないとダメです。サッカーは守るスポーツではないので。負ける時は後ろのせいになりがちですが、チーム全体で点を獲ることを真剣に考えないといけないです。夏は走り勝って結果を残していましたが、気温が下がって相手が走れるようになった時こそ、自分たちの本当の力が試されると思いますし、実際僕たちは点を獲ることができていなかったというのは事実です。そこは一番の課題だと思います」

――ゴールを奪うという部分に関して個の成長という部分以外でどんな改善点を考えていますか?

「前への姿勢が大事だと思います。やっぱり、強引に行くことが大事ですし、無理やりでも前に仕掛けることは、相手も嫌がりますし、自分たちも無理やり前にぐいぐい来るチームは嫌なので、ウチはまだペナルティエリア付近で回していることが多いので、その強引さをもっと持つべきだと思います」

――セットプレーからの得点という部分も大きな課題ですが。

「ウチはどうしてもサイズが小さいですし、ユースから上がってくる選手はあまりヘディングが得意ではないので、そこが少しでも伸びていけば、セットプレーの戦力として計算することができます。やっぱり、ウチはヘディングを得意とする選手がスタメンの中であまりに少ないですし、それがセットプレーの弱さに繋がっていると思います。自信を持って突っ込んでくると、かなり脅威になると思いますし、現状ではウチの若手はそういうプレーが少ないと感じています。そういうところをもっと伸ばしていかないとセットプレーが改善することはないと思います」

――井林選手自身はキャプテンとして1シーズンを戦ってきましたが。

「良い経験になったと思います。上手くチームを引っ張れたかというと、自分自身も抜けていた試合が何試合かありましたし、それを先輩方に喝を入れられる試合もありました。それがなくなるぐらい安定することができれば、いいと思っています」

――今シーズンに関してはセンターバックの相棒がなかなか定まらなかった1年でしたが。

「誰と組んでもチームの方針は一緒なのでいいですが、元々センターバックをやってきた選手たちにもっと自分のストロングポイントを全面的に出してほしかったです。ウェズレイにしてもまだまだメンタル的にムラが多いですし、それはハタ(畠中)やジュン(コ・ギョンジュン)に関しても同じだと思います。自分が言える立場ではないですが、センターバックをやる以上は気持ちの面が重要なので、そこは克服してほしいです」

――来季に向けた個人的な目標を聞かせてください。

「もうちょっと、アグレッシブなプレーができるようになればと思っています。自分は身体が強くないので、一歩引いてしまう場面もあるので、もっと積極的に前に出られるように克服していきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:FW 25 平本一樹選手】

――試合を振り返ってください。

「チームとしても個人としても力負けです」

――チャンスを作りながらセットプレー2発で敗れる今季よくあるパターンの敗戦でしたが。

「相手の茂庭選手が監督交代を受けて、グラウンドの誰よりも強い気持ちで戦った結果だったと思います。僕たちはそこにやられてしまったと感じています」

――最低限の9位というノルマは達成しましたが、後味の悪い幕切れになりました。

「僕たちはあくまでもずっと昇格を目標に目指してやってきたので、内容にも結果にも全然納得がいっていません。ただ、いまそれを言ってもしょうがないので、それぞれが日々の中で少しずつ何かが足りなかったと思っています」

――今シーズンは若手をベースにベテランとの融合がうまくいったシーズンだったとも言えますが。

「若手と言っても、ピッチでやる以上、プロはプロなので。確かに勢いがあった時期もありましたが、こうやって振り返ってみると、そこそこ名前があるチーム相手に勝てていなかったですし、内容も良くなかったです。やっぱり、お山の大将で格下相手にいくら良いサッカーをやって完封勝ちをしても、それは普通だという感覚でいてもらわないと、来年もちょっと厳しいかなと思います」

――来季に向けてはどういうプランでJ1昇格を目指していくつもりでしょうか?

「やっぱり、若手がベースになると思うので、若い奴らが伸び伸びと練習からやれるようにサポートしていければと思います」

――残留争いに陥った昨シーズンに比べて成長した部分も多かったと思いますが。

「昨シーズンに関してはアクシデントみたいなものだったので、これをベースにこれ以上を目指していきたいです」

――平本選手個人としての今シーズンを振り返ってください。

「今年1年間は波がありましたね。前半は良い感じでやれていましたが、途中で上半身の筋肉系のケガを負って、結構テンションが下がってムラが出てしまいました。元々、ムラがあるので、来年はもうちょっとムラの幅を無くしていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 45 永井秀樹選手】

――試合を振り返ってください。

「ウチにとってはチャンスだったと思います。タラレバですが、勝っていれば、プレーオフに行く可能性が残っていたので、勝ち切れなかったことに悔いが残る試合でした」

――チャンスを作りながらセットプレー2発で敗れる今季よくあるパターンの敗戦でしたが。

「本当に紙一重のところで、決めていればというのはサッカーではよくある話ですし、やっぱり決めていればというところを決め切るだけでなく、その回数を増やしていくことをもっと考えていくことが必要です」

――最低限の9位というノルマは達成しましたが、後味の悪い幕切れになりました。

「確かに最後の方は思うように結果が出ない中で、色んなトライをしてきましたが、来年はいよいよ自動昇格、優勝というものを公言して挑むシーズンになると思います。今年できちんと若手が成長したところであったり、色んな部分を踏まえて、来年は自動昇格を目指せるチームになっていかなければならないと思っています」

――シーズン終盤に入って得点を奪うことに苦労しましたが、その改善には何が必要でしょうか?

「世界のどこのサッカー、もちろんJリーグでも最後の質の精度が重要です。その追求を諦めることなく、引いた相手でも崩せるようになるために、もう一度みんなで徹底してやっていきたいです」

――永井選手ご自身としてはプレーヤーとして精神的な支柱として今シーズン大きな貢献を果たしたという印象ですが。

「この歳になってもこういう環境や舞台でサッカーをさせてもらっていることに感謝していますし、チームに少しでも貢献できるようにやっていきたいです」

――来季の個人的な目標に関して教えてください。

「本当に来年は9位以内ではなく自動昇格ということを公言して挑むシーズンなので、早くJ1に戻って日本サッカー界の王座に返り咲くということが、ヴェルディの目標なので、そこを目指して頑張っていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】

――試合を振り返ってください。

「今日は勝たなければいけない試合だったので、とにかく勝つことが最優先でした。ただ、これが実力というか、差だと思っています」

――チャンスを作りながらセットプレー2発で敗れる今季よくあるパターンの敗戦でしたが。

「本当に今日は気持ちが入っていた中、一番気持ちを入れるべきセットプレーの場面でやられてしまいました。やっぱり、得点を奪えていないという部分がこれまでの課題だったので、それを解決できなかったことが一番大きいです」

――2失点目したところでガックリきた部分はありましたか?

「2点ならまだイケるという気持ちはありましたが、時間が経つに連れて焦りが出てしまいました。とにかく、点を奪えなかったことが一番の敗因です」

――安西選手個人としては南選手とのワンツーから良い場面を演出していましたが。

「深い位置を取れて主導権を握れた印象もありましたが、相手も盛り返してきたので、悔しいです。本当に色んな人が支えてくれていたので悔しいです」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「自分たちが勝つことで先が開けるという想い、そしてサポーターのみなさんの想いをピッチで表そうと一週間集中して取り組んできました。選手たちは本当にピッチの中で全てを出すため、一生懸命やってくれましたし、結果は本当に自分の責任であると思いますし、しっかりと受け止めたいと思います。自分たちが今年、具体的に上を目指す戦いの中で、どんどん自分たちが順位を上げていくことで、より見える景色が高くなってきて、あと少しの精度であったり、勝ち点を獲るという戦いの中で、少しなかなか勝ち点が伸びず、ここまで来たことが、一番のプレーオフに行けなかった要因だと思っていますし、やはりJ1に行くということは、最初から自動昇格ができるぐらいの力を持って、シーズンを通した中での強さを見せないと、まだまだ辿り着けないところなのだなと、すごく感じました。ただ、自分たちがやってきたことというのは、消えないと思いますし、自分たちがそういうところに行くことができる力があることを再確認しています。とにかく、選手、スタッフ、会社の人間、スポンサーの方々、そしていつも力を貸してくれるサポーターの皆さんに申し訳なく思うと共に、1年間支えて頂いた感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとうございました」

――チャンスを作りながらセットプレー2発で敗れる今季よくあるパターンの敗戦でしたが。

「やはり上に上がるチーム、ここからプレーオフを勝ち抜くチームというのは、リスタートの重要性をよく理解していて、リスタートでゴールを獲ることができるチームだと思います。自分たちにはまだまだその力がないと感じています。ただ、自分たちはそんなに大きな選手がいない中で、リスタートの場面で年間を通してアラートにマークに付いて、身体を張ってよく防いでくれたと思います。また、アイデアを出して今日もポストに当たったと思いますが、自分たちが獲るという中での工夫は1年間してきました。本当にそこで獲れるというのが、やはり上に行ける、そういうゲームを自分たちもやっていかなければならないと思います」

――監督ご自身としてはフルシーズン指揮を執る最初のシーズンでしたが、監督業についてどのように感じていらっしゃいますか?

「一番は勝つという勝敗のところで責任をしっかりと負える人間かどうかという部分が、監督の器だと思いますし、そういう責任を負えるゲームに臨めるように選手たちが普段からトレーニングできるような環境をスタッフが作ってくれて、本当に一生懸命やってくれたので、監督として自分が戦術的にもまだまだ未熟ですし、勝ち点を獲るという戦いの中で自分がもっとたくさんサッカーの幅を持たなければならないことを痛感しています。この順位というのは、本当に重く考えていますし、監督というのはそういうところでひとつのタイミング、今日であれば交代のタイミングであったり、本当に瞬間のスピードが必要だと思います。その辺のところを自分自身もっと高めていかなければいけないなと思います。決断の部分でしっかりとやっていかなければと感じています」

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