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MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第6節 - ファジアーノ岡山 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

開幕戦を落としたものの、2節から無失点で4連勝し、2位に躍り出たヴェルディ。1試合を通してロティーナ監督の目指すサッカーを継続できているわけではないが、苦しい中でもセットプレーで得点したり、相手のミスを見逃さずに少ないチャンスを生かして勝ち切ってきた。今節は、2015シーズンの夏場に達成した2年ぶりの5連勝に挑む一戦となった。

 

前節途中で負傷交代した井上潮音に代わり、橋本英郎が今シーズン初スタメンでボランチの一角に起用された。また開幕戦の途中で負傷交代していた中後雅喜が復帰しベンチ入り。スタメンのベースはここ数試合と同じ顔ぶれとなった。

 

手前味噌ではあるが、この日のヴェルディはとことん苦しんだ。相手の出足の鋭いプレスにビルドアップは乱れ、ミスからのボールロストが多く、パスワークのリズムをなかなかつかめない。立ち上がりからファジアーノ岡山にボールを持たれ、自陣ゴール前でブロックを敷いて対応する時間が序盤からしばらく続いた。さらに、拍車を掛けるアクシデントが起こる。10分頃に永田が足を痛めて交代を直訴。代わりに畠中槙之輔を3バックの真ん中に置いた。押し込まれた中でも、ヴェルディは組織だった守備で相手にシュートを打たせない。苦しい中でも、硬いガードの奥から鋭いストレートを打ち込む。19分、大きくサイドを変える展開から高木大輔が余裕を持ってボールを持ち直し、ゴール前にピンポイントクロスを供給。ゴール正面で待つアランの下にドンぴしゃのタイミングでボールが入ると、アランのヘディングシュートがゴールネットを揺らした。しかし、これは直前のプレーがアランのファウルと判断されてノーゴールに。22分にはペナルティエリア際のきわどい位置で相手にフリーキックを与えるが、枠を捉えたシュートは柴崎貴広がセービングした。前半終盤の42分には、橋本がこぼれ球に反応して、ミドルレンジから上手くボレーでミートしてゴールを捉えたが、相手GKの攻守に阻まれた。

 

反撃に出たヴェルディは、ハーフタイムに攻守両面で細かく戦術的な動きを確認。選手個々の動きを微修正し、狙いをハッキリさせてピッチへと戻っていった。

 

後半の立ち上がりは、落ち着いてボールを動かし、ピッチを広く使いながら相手を揺さぶって徐々に挽回していく。しかし、55分にこの日最大のピンチ。コーナーキックのこぼれ球を拾われると、ペナルティエリア内をドリブルでかき回され、マークをはがされてシュートコースを作られると、ゴール左斜めの位置から強烈なシュートを打たれる。だが、密集を抜けたシュートは、柴崎が鋭い反応で弾き出した。ここから一時は相手を勢い付かせたものの、粘り強い対応で前半同様に安定した守備を見せる。すると、後半の中盤を過ぎる頃から試合の流れは一変。ヴェルディが中盤でテンポの良いパスワークを取り戻すと、サイドのスペースを使って相手を押し込み始める。75分には、カウンター気味に素早くゴールに迫ると、高木善朗がドリブルから強烈なシュートを放つ。相手にブロックされたボールは惜しくも右ポストに当たって枠を逸れた。苦しい時間を耐えて、自分たちのペースを作り始めたヴェルディ。均衡を崩したい時間帯で大仕事をやってのけたのは、58分に投入された男だった。81分、自陣右サイドの高木大から前線にくさびのボールが入るが、相手がインターセプトして前線に運ぼうとする。その背後から、左ウイングで起用された安西幸輝が猛烈なスプリントでプレスをかけてボールを奪うと、拾った高木大が前線のアランへミドルレンジのフィード。アランが身体を張って相手を引きつけて後方からサポートに入った高木善へ。相手も素早いプレスバックで守備に人数をかけてきたが、陣形が整う前に高木善がバイタルエリアまでボールを運ぶと、左サイドから絶妙なタイミングで加速した安在和樹が左サイドからペナルティエリア内のスペースへ飛び出し、そこにこれ以上ないスピードとコースのスルーパスを供給。相手GKを引き出したところで安在はクロスを選択し、逆側に飛び込んでいた安西がゴール前で押し込んで先制点を挙げた。高木善と安在のお膳立ても見事だったが、自陣での猛烈な守備から、さらに素早く切り替えて相手ゴール前までスプリントした安西のダイナミックなプレーが重ならなければ生まれなかったゴールだった。

 

先制点を挙げてからは、今シーズンのヴェルディのひとつのストロングポイント。相手に勢いがあるとみるや無理にボールを奪いにいかず、徹底してスペースを埋めてシュートを打たせない守備に切り替える。マイボールを奪うと、これも無理にでも攻める場面とボールを落ち着かせてパスを回す場面を使い分けて試合をコントロール。序盤から徹底していた相手のロングボール攻勢に対して、柴崎が果敢に前に出てボールを処理してシャットアウト。安西の決勝点を守り切って勝利した。

 

これで2節以降は無失点と無傷の5連勝。粘り強い守備をベースに、攻勢と見るや一気に攻め込んでゴールをもぎ取る力強さを見せた。首位の湘南ベルマーレが敗れたため、6節を終えた時点で首位に立ったヴェルディ。ただし、まだ序盤戦の結果でしかない。ここから続く長いシーズンの中、目の前の試合を大切しながら一歩ずつ勝ち点を積み、サッカースタイルの浸透を進めていく。ホームに戻る次節は、久しぶりとなる駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で戦う。相手は、上位直接対決となる湘南ベルマーレ。序盤戦の行方を占うこの大一番に現在の自分たちのすべてをぶつける。

 

 

【試合後選手コメント:FW 2 安西幸輝】

――まずはゴールの感想から教えてください。

「チームが相手に押し込まれていた、どこかで流れを変えてやろうと思っている中でのゴールだったので、非常に嬉しかったです」

――ゴールシーンを振り返ってください。まずは、安西選手の自陣でのプレスバックから始まりました。

「スタメンで出ていたFW3人にはない僕の持ち味は運動量だと思うので、そこをしっかり意識して、守備でもチームメイトを助けられたらいいなと思っていて、そこから諦めずにゴール前まで行けたのが良かったんじゃないかなと思います」

――ゴール直前、クロスを入れた安在和樹選手とは目が合っていた?

「いや、ヨシ君がアンカズに出すな、というイメージはなんとなくあったので、後はアンカズに頼むから出してくれと願いながらです。まあ、僕がいつも朝起こしているのが帰ってきて良かったです(笑)」

――そこを詳しく。

「アウェイの時は、あの人はいつも起きないので、いつも僕が起こしに行っているので、その分け前をもらったのかなと思っています」

――プレシーズンの怪我から出遅れましたが、これはいいアピールになりましたね。

「キャンプで怪我をしてから、チームが連勝しているというのはいいことなんですが、半面悔しさもあったので、今日はそういうところが出て良かったかなと思います」

――チームはこれで首位に立ちました。

「チーム内の競争があるからこその順位だと思うし、これからもっと強い相手と戦うので、そういう相手に勝っていくのが大事になるので、しっかり気を引き締めていきたいです」

――次節に向けてメッセージをお願いします。

「ベルマーレは個人的にも好きなチームだし、走り負けないようにしたいです」

 

【試合後選手コメント:DF 4 畠中槙之輔】

――急な出番になりました。

「自分自身、公式戦が昨シーズンの最終戦以来だったので少し入りの部分で緊張してしまったんですが、チームの皆に助けられて無事に終えられて良かったです」

――非常に落ち着いてプレーしているように見えました。

「周りが声を掛けてくれたりサポートしてくれたので、自分はやれることをやろうと思っていました」

――特に気を付けていたのは?

「監督からは練習中に、シンプルに少ないタッチで確実につなげと言われていたので、そこは意識していました。多少パスミスはありましたが、遠くを見てパスを出せたりもしたので、これからも続けていきたいと思います」

――押し込まれる時間帯、心掛けていたのは?

「あの押し込まれた時間帯でどれだけ我慢できるかだと思うので、4連勝している時はミツさんを中心に我慢して無失点で終えていました。自分に代わってそこで失点したら自分のアピールにもならないと思って、そこは絶対に撥ね返してやろう、守り切ってやろうと思ってプレーしていました」

――次節に向けてメッセージをお願いします。

「5連勝している中で自分に出番が来たんですが、また首位をキープできるように頑張りますので、応援をよろしくお願いします」

 

【試合後選手コメント:MF 27 橋本英郎】

――まず今日の試合を振り返ってください。

「難しい試合でしたが、最終的に勝てて良かったです」

――初スタメンでのパフォーマンスは?

「前半は良いプレーができていなかったんですけど、前半の終わりから徐々に自分なりにペースがとれるようになってきて、後半はある程度思い描いていた展開になっていったので、後半の立ち上がりも危ないシーンは何度か続いたんですが、そこを乗り切ってからは自分たちのペースをある程度つかめて、相手がやりにくい形で試合を進められたので。最終的に幸輝が点をとってくれましたけど、やっぱり交代で入ってきたメンバーだったり、僕もこれまで先発ではなかったですけど、そういうメンバーが力になるので、競争とう部分での緊張感を保てているので、勝っている内容もあるかもしれないですけど、それ以上に自分たちでチャレンジしていることが良い方向につながっていると思います」

――難しい時間帯の選手間の声掛けは?

「我慢しろという声が出ていたり、そこで辛抱できるだけの自信があるからだと思うんですけど、危ない場面でも身体を張れているので、そういう部分では良い展開になっているとは思います。ちょっと前半にハタが入った時に自分たちのゴール前でファウルをとられることがあったので、その辺が今までは多いシーンではなかったので、少し危ないシーンにつながりやすい場面もありました」

――まだ序盤ですがチームは首位に立ちました。首位に立つ経験がない選手が多い中で、橋本選手の経験が重要になってくると思います。

「勝ち点が全然離れていないので、まったく意味がない首位だと思っています。なので、1試合ずつ勝っていって、目標設定をどこに置いていけるかにもつながっていきます。昨シーズン、僕らはどうしても下の順位にいたので、これからもずっと上の順位だったチームと戦うことになるので、次の湘南もJ1にいたチームなので、そういうチームにチャレンジすることが大事です。まだ上に立っているチームではないと思うので、チャレンジしていく中でそういうプレッシャーをこれから感じて行けばいいのではないかと思います」

――次節に向けて、メッセージをお願いします。

「湘南は走るサッカーなので、僕らがそこに合わさざるを得ないかもしれないですけど、その中でも自分たちらしさを出せるように、監督やコーチが望んでいるプレーや戦術をピッチで表現して、あとは個人個人が挑戦できるように頑張りますので、ぜひ観に来てください」

 

【試合後監督コメント:ミゲル アンヘル ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「前半は拮抗した試合だったと思います。相手の方が、僕たちのペナルティボックスに辿り着いた回数は多かったと思います。後半はより良いプレーができました。ボールを上手く回すことができましたし、チャンスが来るまで忍耐強く攻撃を続けることができました。岡山は難しい相手ということは分かっていました。攻撃的で守るのが難しい相手です。昨シーズンの成績も知っていました。でも、同じように私たちも良いプレーが計画通りにできれば、僕たちが勝つ可能性が高まるということも分かっていました」

――安西選手の投入について、これまで最初の交代はドウグラス選手に代えて梶川選手を入れていたが、今日に限ってなぜ最初が安西だったのか。チームに何が必要だったのかの理由を教えてください。

「試合の流れとして、カジよりコウキの方が必要だと思いました。もし違う試合だったら、カジを最初に入れていたかもしれません。ただ、今日の試合の流れ上、コウキが必要だと思いました。それはゴールだけではなく、他のプレーも良かったと思います。コウキがチームに良い流れを持ってきてくれました」

――前半の序盤で永田選手が交代しながら無失点に抑えた守備の評価は?

「ミツは軽傷だと思います。そんなに重大な怪我ではなかったと思うのですが、守備陣はエラーが少なくなってきていて、少しのエラーしかおかさなかったと思います。それで失点をゼロに抑えることができました。ただ、チーム全体の働きだと評価したいですね。FWのドウグラス、アラン、ヨシが前線からしっかりとディフェンスをしてくれた。それによって良い組織として守れたという印象を持っています」

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