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MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第38節 - FC岐阜 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

9月未勝利と一度は足踏みをしたヴェルディ。しかし、10月に入ってホーム連戦でFC町田ゼルビア、モンテディオ山形に3-1で勝利し、アウェイ連戦の1戦目はザスパクサツ群馬に2-1の逆転勝利を挙げて3連勝と再び勢いを取り戻した。アウェイ連戦の2戦目は、今季3度目の4連勝を懸けてFC岐阜と対戦した。今週も前節同様にプレーオフ圏内を争う相手の試合が事前に行なわれ、松本山雅FCと大分トリニータの上位直接対決で大分トリニータが勝利。ヴェルディがこの一戦で勝利すれば松本山雅FCを抜いてプレーオフ圏内に入るというプレッシャーが掛かる条件のもと戦うことになった。平智広が負傷で離脱したセンターバックのポジションには畠中槙之輔が入り、インサイドハーフには高木善朗をサブスタートにして梶川諒太をスタメンで起用した。

 

圧倒的なパス数とポゼッション率を誇る岐阜は、前半戦の対戦でもヴェルディを苦しめた。この一戦でも序盤から全体が連動したパスワークで押し込まれ、いざボールを奪ってからも最終ラインに対して積極的につめてくるプレスを前にテンポの良いパスワークを発揮できない。ただし、一定のボール支配を想定していたチームは、ボールサイドへのスライドを徹底しながら、ゴール前の最後の局面では、自由にフィニッシュに持ち込ませない対応を見せた。最初のチャンスは8分。内田達也のくさびを受けたカルロスが反転しながら相手DFを剥がし、そのまま間合いを詰めてくる相手を置き去りにしてペナルティエリアに侵入してシュートチャンスを迎える。しかし、相手GKの出端を突いたループシュートはポストに当たって枠から逸れた。その後はフィニッシュに至る前の中盤の攻防で、お互いに一歩も退かない主導権争いを繰り広げた。ともにマイボールを失った直後にカウンタープレスでボールサイドに厳しく寄せ、ショートカウンターを繰り出す。30分にはバイタルエリアに侵入した安西幸輝のくさびのパスを渡辺皓太が受けてヒールで後方にフリック。このボールを受けたカルロスが抜け出し、GKと1対1の場面を作るが、シュートはGKにはじかれて枠を捉えられなかった。ボールを持たれる時間は長かったものの、ヴェルディが要所を抑えて攻守ともに辛抱強く対応し、反撃に向けて後半に勢いを継いだ。

 

その予感は立ち上がり早々にチャンスという形になった。46分、ドウグラスが相手のパスミスに反応して右サイドのスペースに抜け出し、ペナルティエリアに侵入する。しかし、思い切って早めに右足を振り抜いたシュートは、ゴール左へと逸れていった。この場面を境に、流動的な人の動きと連動したパスワークで相手のプレスをかいくぐり、スピーディに前線にボールを運び、フィニッシュまで持ち込む。喉から手が出るほど欲しかった先制点も、後方からどんどん飛び出してボールに関わる選手たちによってもたらされた。54分、右サイドでドウグラスが粘ってボールをペナルティエリアに向けて持ち出し、ややマイナス位置に顔を出した内田へ。ゴール方向に持ち出した内田がシュートを狙うがブロックされると、そのこぼれ球はペナルティエリアの左スペースに侵入していた安西の足元へ。左斜め45度の位置から左足を強振した安西のシュートは相手GKに一度セーブされたが、こぼれ球を狙っていたドウグラスが詰めて試合を動かした。これで流れを完全に引き寄せたかに思えたが、3分後に守備が一瞬の隙を見せる。相手のカウンターに対して下がりながら対応する守備陣だが、ラインを揃えることができず、ギャップにスルーパスを通されて古橋に抜け出されてゴールに流し込まれた。得点直後の失点で肩を落としかけたかに見えたヴェルディだが、一気呵成に攻め立てようと前からプレスをかけてくる岐阜を冷静にショートパスでいなす。最終ラインへのプレスをアンカーの内田も含めた守備陣のパスワークでいなすと、後方からの連動したプレスが遅れたサイドを使い、縦にスピードアップして攻撃に出る。粘り強く岐阜のプレスをかわし続けると、攻守が連動した形でついに勝ち越しに成功する。80分、相手の縦パスを読んだ畠中が自陣の浅い位置でインターセプトすると、自身の前に空いているスペースへとボールを持ち出しながらルックアップ。ドウグラスが相手DFとの駆け引きで飛び出そうとするところへ絶妙なタイミングでスルーパスを通す。相手DFの前に身体を入れてスペースへと抜け出したドウグラスは、半ばファウル覚悟で止めに来る相手にもバランスを崩さず、GKの出端で豪快にネットを揺らした。

 

アディショナルタイムも含めて15分間は、ほぼ岐阜のパワープレーに押し込まれる展開だったが、その間隙を縫って安西や途中投入された高木善や井上潮音が高い位置にボールを運んでリードを守りに入る。終盤にはサイドから何本もクロスボールをゴール前に放り込まれるが、最後まで集中を切らさずに撥ね返し続けてタイムアップを迎えた。

 

ピッチコンディションの影響から足を攣らせる選手たちが続出したが、そうした選手たちも終盤にはその影響を微塵も感じさせずにボールサイドへのアプローチを続けた。まさにチーム総力戦。お互いに死力を尽くした試合で、攻守に自分たちの強みを生かして勝ち点3を自分たちの側に引き寄せたヴェルディ。一つの引き分けでも順位が大きく動く終盤戦で、試合巧者と言えるゲームコントロールを見せ、接戦をものにした影響は大きい。

 

残るは4試合。うち、ホームゲームは3試合。このアドバンテージを生かして、まずはプレーオフ圏内を死守する必要がある。昇格という目標が視野に見えてくるが、先の目標にのみフォーカスすることなく、一戦必勝を貫くのみだ。

 

 

【試合後選手コメント:FW 9 ドウグラス ヴィエイラ】

――2試合連続のゴールで、今日は2得点を挙げました。得点場面を振り返ってください。

「自分たちが良い形で崩した中で、良い形で幸輝のシュートのこぼれ球が自分の前に転がってきたので、落ち着いて決めることができました。2点目は、相手のGKが前に出てきたところをしっかりと落ち着いて決めることができてうれしかったです。この形は、ハーフタイムにも畠中選手との関係の中でコミュニケーションをとっていた形です。ふたりでイメージができていたので、とても良い形でチャンスが巡ってきて、決めることができてよかったです」

――残り4試合で昇格を果たすために必要なものは?

「残り4試合とはいえ、プレーオフ圏内に入ることが決まったわけではありません。今は次の試合のことしか考えていません。次の試合のことを考えています」

――次節はホームに福岡を迎えます。意気込みをかせてください。

「次のホームゲームは、誰もが難しいということを理解しています。ただ、サポーターの皆さんの最大限のサポートを形にしていただき、スタジアムにたくさん来ていただき、たくさんパワーを送ってもらいたい。我々のアドバンテージとなるような雰囲気を作っていただいて、次の試合でともに戦って勝ち点3をとるためにともに戦っていきたいと思います」

 

 

【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝】

――今日はフィニッシュに絡む場面が続いたように思います。

「1点目は本当に自分が点を獲りたくて、でもドウグラスが点を取ってくれて良かったです」

――ボックスの中に入って、前を向いてシュートを打てる場面がありました。

「一本ふかしちゃったし、決めるべきところで決めておけば、もっと楽に勝てただろうし。最後のところのあの精度を上げられれば、もっと良い選手になれると思いました」

――チームが押し込まれている苦しい場面で縦に運んでいく推進力。終盤のアディショナルタイムでも前に運んでいく力はさすがでした。

「苦しい時に走れる選手というのは、監督としても使いたいなと思われると思うので。最後の最後まで走り切るというのは自分の特長だし、運動量は終盤に少し落ちましたけど、良い形で運べてよかったと思います」

――残り4試合で現在の順位にいます。否が応でも昇格を意識するのでは?

「プロとして4年目で初めて立てた順位だし、あと4戦でどこかが抜いたらまた抜かれるし、まずはプレーオフに入れるようにしっかり努力していきたいと思っています」

 

 

【試合後選手コメント:DF 4 畠中槙之輔】

――まず試合を振り返ってください。

「前半から流される時間が長くて、その中で、自分たちも辛抱してよく守れたかなと」

――決勝点のインターセプトからスルーパスまでの場面を振り返ってください。 

「前半から結構、FWへのパスコースが見えていて、ハーフタイムにドウグラスたちに『俺が持ったら前を見るから』と。それが上手く形になった。それは良かったかなと思います」

――今もおっしゃいましたが、畠中選手のところでインターセプトする場面が多くありました。今日はそこが狙いでしたか?

「相手は切り替えが遅いというのは分かっていたので、そこは狙い目かなと思っていました。前線が上手く受ける動きをしてくれていたので、すごくやりやすかったです。」

――守備も粘り強くスライドして対応していました。

「でも、守備は失点が続いてしまっているので、そこは反省点かなと思います」

――残り4試合で昇格を意識するところはありますか?

「次節、自動昇格圏の福岡と戦うので、これが一番大事な試合なんじゃないかと思いますけど、どこが相手でも気負いせず、自分たちのプレーができればと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 20 井上潮音】

――久しぶりの公式戦のピッチでしたが、久しぶりの感触はいかがでしたか?

「ピッチに立つということが、自分にとってとても幸せなことだなというか、サッカー選手である以上はこのピッチに立つことが一番楽しいことだと感じました」

――梶川選手の怪我によりスクランブルでの出場でした。どんなことを意識してプレーしましたか?

「相手がボールを持ちたがるチームなので、そのボールをとった後、すぐに失わないようにしましたし、あとは勝っている状況で相手に得点を許さないということで、まずは守備から走ってチームの力になろうと思いました」

――残り4試合になります。そこでチームにどう貢献したいですか?

「ここまでチームが良い順位まで持ってきてくれて。そこにほんの少しでも力になりたいし、試合に出ていなかった分、ゴールだったりアシストという数字の部分で貢献できればいいと思っています」

 

 

【試合後監督コメント:ミゲル アンヘル ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「とても拮抗した試合でした。いいスタートを切れて、チャンスを作れて、ただゴールを決めることができませんでした。その後、彼らもいくつかチャンスを作っていました。でも後半も良いスタートを切れてチャンスを作ることができて、良いゴールを決めることができました。そこは自分たちの良い時間帯だったのですが、その時間帯にカウンターを許して同点にされました。その後、とても拮抗した時間が続いたんですが、素晴らしいパスと素晴らしいドウグラスのゴールが決まりました。ラスト10分、彼らは前線に選手をたくさん送り込んで、我々は守ることに集中させられました。自分たちは疲れていて、エリアのそばで守備を強いられました」

――前半の途中で交代した田村選手の容体を教えてください。

「ウォーミングアップで少し動悸があるという状況でした。その後、ウォーミングアップが終わった後に収まっていたんですが、前半の途中でぶり返してきたので交代を決断しました。詳しいことはまだ分からないです」

――この終盤に入って4連勝。しかも苦手だったアウェイでも勝っています。

「今、なぜアウェイで勝てるようになったのかということは、分からないです。ぼくたちは勝ち点を積み上げることができていますが、実際は一つ一つの試合で勝ち点を得るのに非常に苦労しています。だから一つひとつの試合に価値を置いて、臨んでいます」

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