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MATCH試合情報

第98回天皇杯全日本サッカー選手権大会 ラウンド16 - 浦和レッズ vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

リーグ戦の流れを今一度変えるべく、天皇杯の4回戦に臨んだヴェルディ。相手は、2シーズンぶりのJ1勢となる浦和レッズで、2011年以来の対戦となった。ターンオーバーを明言していたロティーナ監督は、4日前のリーグ戦からスタメンを全員入れ替え。GKに柴崎貴広、最終ラインは右から林昇吾、若狭大志、永田充と続き、香川勇気が移籍後初スタメンとなった。ボランチは橋本英郎と井上潮音を組ませ、右ワイドMFに森俊介、左ワイドMFに李栄直を配置。2トップはアランと林陵平が起用された。

立ち上がりこそ相手に押し込まれて自陣でブロックを敷いて耐える時間が続くが、球際での攻防で先手を取って、ビルドアップでも相手の単発のプレスをいなして徐々に主導権を握っていく。前半の半ばからは完全にボールを保持して、相手を自陣に貼りつかせて広くボールを動かしながら攻め手を窺う展開に。最初のチャンスは24分、井上が相手のプレスがこないとみるやドリブルで縦にボールを運んでDFを引き寄せると、左サイドのスペースへパス。フリーの李が狙いすましたシュートをゴール右隅へと放ったが、GKの手の先へ抜けたボールは右ポストを直撃して枠から外れた。その後もポゼッションを握ったヴェルディは、相手の隙を突いてゴールを狙う。27分、橋本と森のコンビネーションで相手の守備網を崩すと、マークを剥がしたアランへパス。思い切って右足を振ったアランのシュートはゴール右上へと逸れていった。チャンスはなおも続く。29分、最終ラインの背後へのループパスに森が反応してゴール前へ。角度がない位置から思い切って打ったシュートはゴールをかすめた。前半最大のチャンスは39分、香川と李のコンビネーションで香川がサイドを突破してゴールライン際でクロスボールを入れると、そこに飛び込んでいた林陵がワンタッチで合わせたが、これはわずかに枠から外れてしまった。

「焦らずにボールを動かして、じっくりと相手を押し込んでいこう」と確認し合った後半もヴェルディのペースで進んでいく。立ち上がりから相手をいなすビルドアップでボールを保持して、機と見るやスピードアップして攻撃に転じる。一度ボールを奪われても、素早いプレスバックで奪い返して、逆にショートカウンターで浦和の出端を挫く。しかし、好事魔多し。テンポが悪くなって相手にボールを持たれて押し込まれると、64分にワイドな展開から視線を左右に振られた中でボールウォッチャーになり、ファブリシオにフリーで押し込まれて先制を許す。流れが一気に傾かに思われたが、ハーフタイムに指揮官から「どちらに先制点が転がってやることは変わらない。ボールを持って、じっくりと相手を押し込んでいこう」と送り出されたチームは、落ち着いて自分たちのビルドアップを取り戻す。76分には途中投入されたドウグラスが林陵とのコンビネーションからスペースへ飛び出し、相手DFを前にしながらもコースを突いたシュートを放つ。これもわずかにゴールの上へと外れると、以後はボールを持ってバイタルエリアに侵入しながらも、割り切ってスペースを埋めてきた浦和を攻略し切れず、2種登録でユース所属の森田晃樹の投入などでリズムを変えようと試みたが、最後までJ1の牙城を崩せずにタイムアップを迎えた。

結果が出なかったことが純粋に悔しい。そう思える試合内容だった。リーグ戦のここ2試合と同様に、自分たちのやりたいサッカーが成熟しつつあり、それをピッチで高い精度で表現できるようになってきた。それだけに、前半に立て続けに作り出した決定機をモノにできなかったことが悔やまれる。リーグ戦と大きくメンバーを代えながらも、表現したサッカーはリーグ戦のそれとなんら遜色なかった。中2日で迎えるリーグ戦では、内容は当然ながら結果を伴わせたい。そのキッカケは、熊谷の地でつかんだと言える。3日後、フクダ電子アリーナで、それを証明するのみだ。

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監督コメント

ミゲル アンヘル ロティーナ 監督

試合を振り返ってください。
まずは浦和の勝利を祝福したいと思います。全体的には良いプレーができたと思います。もちろん、負けていいことはありませんが、内容には満足しています。前半はボールを持って良いプレーができ集中したディフェンスもできました。後半はより拮抗した試合になりました。それぞれがボールを持って攻撃していました。前半ほどチャンスを作ることはできませんでしたが、後半も良いプレーができました。長い間90分間プレーしていない選手がたくさん出て強い相手に良い戦いができました。

サブ組中心で天皇杯を戦ってきた中で、チームに伸びしろを感じた部分を聞かせてください。
まず我々は勝ちたかった。この前の日曜日(大分戦)の試合に出ていない選手が良いトレーニングを続け、良い姿勢を崩すことなくトレーニングを続けた選手たちに対するリスペクトがありますし、彼らが十分にプレーできることを示す場でもありました。彼らは普段から素晴らしい姿勢を見せてくれていますし、今日のプレーにも満足しています。

リーグ戦でほとんど使ったことがない布陣で戦った意図を聞かせてください。
我々は攻撃や守備と分けずに自分たちのプレーをするためにどんなプランで戦うかを考えています。次の相手やプレーする選手に応じてゲームプランを決めています。そして、こういうプレーをしたいと考えた時にシステムを決定します。守備のため、攻撃のためだけでなく、そのふたつは関連したものだと考えていて、それを踏まえてこのシステムで戦うことを決めました。

前半と後半でチャンスの数が大きく変わったことに関してどのように捉えていますか?
いくつか要素があると思います。ひとつは疲れがあったと思います。多くの選手が90分間プレーしていない選手が多かったです。また、相手も前半のパフォーマンスを考慮して守備面でより厳しくプレーしていました。

浦和レッズを相手に今日のような試合をできたことは今後のリーグ戦にどのように繋がっていくと思いますか?
次の試合に関しては今日プレーした選手たちは回復に時間がかかることもあり、スタートからプレーすることは難しいと思います。もちろん、プランをこれから考えていくので変わっていくことがあると思いますが、基本的にはこの前のリーグ戦に出た人がプレーすると思います。疲れの部分に関しては次の試合に影響はないと思います。あとメンタル面に関してはリーグ戦でなかなかプレーしていない出場機会の少ない選手たちが良いプレーと良いトレーニングを進めてこういう試合ができたことはチームにとってプラスだと思います。我々スタッフにとっては心強いことです。というのはプレーしていない選手たちも自分たちのやり方を理解してプレーできる状態にあることは良いことです。

今日は控え選手たちが良いプレーをしましたが、彼らが終盤戦のチームの起爆剤になっていくとお考えでしょうか?
我々はひとつのやり方でトレーニングをしていく中で試合を戦います。そして、試合で戦うためにトレーニングを組み立てています。それがどんなことに繋がるかというと、出ている選手のプレーが良くなっていくことだけでなく、選手たちがチームのやり方をトレーニングを通じて理解します。また、攻撃や守備、切り替えといったすべての局面での対応を理解することです。ちょっと、通訳が疲れてきたので、この辺で終わりにしましょう(笑)

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選手コメント

DF 4香川 勇気

試合を振り返ってください。
ヴェルディでの初めての試合でしたがどうなるか不安な部分もありました。ただ、思い切って行こうと決めていたので、前半から思い切ってやれたと思います。

緑のユニフォームを着て初めての試合でしたが。
東京ヴェルディというすごい歴史のあるクラブの一員としてJ1に向かって今良い流れにいるので、そこにしっかりと自分が入れたことはすごく嬉しく思います。

今日の試合に臨むという部分で監督からはどんなところを一番意識してほしいと伝えられましたか?
ヴェルディに入って日が浅いのでまずは慣れること。自分の特長を出して来いということは言われていました。そこはある程度出せたと思います。前半に少し出せましたが、オーバーラップや左足で作るという部分が特長なので少し出せたと思います。

久々の実戦に加えて厳しい環境でのプレーでしたが、コンディション面はいかがですか?
久しぶりの試合でしっかりとこれだけ走り切れたことは自分自身安心しています。これがもっと試合を重ねていくとどんどんコンディションも上がってくると思うので、そこはポジティブに捉えています。

ヴェルディでの異なるスタイルへの順応という部分では感触はいかがですか?
ヴェルディのパスサッカーは対戦相手として見ていましたし、そこは自分自身パスサッカーに慣れているので思ったよりもすんなりと入れたと思います。連係に関しては初めての試合だったので合わせていかないといけない部分もありましたが、そこは練習を重ねてもっとコミュニケーションを増やせば改善できると思っています。

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MF 20井上 潮音

試合を振り返ってください。
試合が終わった瞬間は納得がいかないというか、すごく悔しい気持ちが大きかったです。ただ、やれたことも少なくなかったですが、ちょっとしたところで最後の精度や球際、1対1の部分で差は感じました。そこはこれから追いついて追い越していけるようにしていきたいです。

前半は球際や守備の部分で良さは出ていたと思いますが。
守備のところは練習から意識していますし、今日の試合でも出せたと思います。

全体的なご自身の出来はいかがでしたか?
仕事量に関しては前半に比べると後半落ちてしまったので、それを続けられなかった悔しさはあります。それができなかったからこそ途中で代えられてしまったと思います。

2ボランチでのプレーでしたが意識した部分を聞かせてください。
今日はチームとしてボールを持とうというところで、あまり自分が前に行かずに後ろからサポートしていく意識でした。ボールを獲られた後のカウンターへの対応もあり、あまり前に出ずに回そうという感覚でした。その役割に関してはできたと思います。

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DF 19永田 充

試合を振り返ってください。
勝つチャンスもあった中で最終的にレッズに勝たせてしまったことは単純に力不足です。レッズが一枚上手だったと思います。

ほぼ主力メンバーの浦和を相手に良い内容の試合をできた手応えは感じていますか?
こういうところでアピールしないと試合では使ってもらえないですし、今日は若い選手が何人も出ていましたが、個人的な印象ではとても頑張っていたと思いますし、レッズ相手にも十分やれるという自信を得た選手もいると思います。

古巣対戦でしたがこれまでの仲間を敵に回した印象はいかがですか?
ゴール前の落ち着きに関してはシンゾウ(興梠選手)とかはさすがだと思いました。ゴール場面ではシュートを予想した中で判断を変えて柔らかな折り返しを入れられました。とっさに判断を変えられるところはさすがだと思います。

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MF 27橋本 英郎

試合を振り返ってください。
相手は連戦だったので、省エネで何とかしようという雰囲気が感じられました。クオリティーの差で勝負してきている部分があったので、僕たちがボールを持てる時間を作れました。そこである程度焦らずに決定機まで作れる展開になりましたが、そこで点を取れない部分がありました。後半も同じような展開の中で僕らに疲れが出てきてミスが連続で起こったところで、相手の質の高い一個のプレーで点を取られました。それからは相手が余計に引いて戦い、向こうも自分たちのやり方を理解してきていたので、どんどん崩しにくくなりました。

守備面では良い動きが目立っていましたが。
僕が良かったというよりはフォワードの2人のアランと陵平が守備に関してはいつも以上に頑張ってくれました。相手のボランチや柏木選手なんかはやりにくかったと思います。良いプレーをするうえで彼は僕らの近い位置でプレーせざるを得なかったと思いますし、難しかったと思います。そういう意味で前の選手たちが良い形で守備ができていたと思います。潮音も良いプレッシャーをかけられていたと思います。そういう意味では前半はボールの奪い方がハマっていたと思います。相手は前半の中でそこを修正できず、後半に入って少しやり方を変えてきました。僕ももう少し高い位置で受けたかったですが、相手がプレスのかけ方を変えてきてなかなか良い形で受けられず、ボールを回す位置が少し低かったと思います。

普段出場機会が少ない選手を中心にこれだけの内容のサッカーができましたが。
そこは監督やコーチがやることを明確に示してくれた影響が大きいです。チームとして共有していることがある程度出せたと思います。もちろん、相手が横綱相撲ではないですけど、ある程度こちらの形を出させてくれる展開でした。後半の最後は僕らの良さが出しにくい展開だったので、そこで変化を付けられればと思います。特にドウグラスが出てからは彼の良さをもっと出せれば良かったですね。クサビを入れられるタイミングでもなかなかみんな出さず、ちょっと後半はアランと陵平のところに入れようとして取られることが多かったので、そこを避けようという気持ちが強くなってしまったと思います。

接戦でしたが、勝てた試合だったという捉え方でしょうか?
結果がすべてです。タラレバを言えば、勝てる可能性もありましたが、向こうも引き分けや延長戦でもおかしくないと思っていたと思います。その中で1点をちゃんと取るということは大きな差なので、チャンスを外し続けても僕らがもっと後半にチャンスを作れていれば点を決められたと思いますが、後半はそのチャンスという部分でビッグチャンスは少なかったと思います。そういう意味で勝つという力の差はあったと思います。

相手の後半からのサイドチェンジはヴェルディにとって効いた印象でしょうか?
後半は相手が岩波選手のところからサイドに振っていく形が増えて僕たちも広がったサッカーになってしまいました。一人ひとりがカバーし辛くなってしまいました。最終的に岩波選手から興梠選手にクロスが入った場面でもサイドに引っ張られて絞り切れていなかったです。その折り返しのところでもシュートを打つと判断してまたみんなが絞り切れなかった、その繰り返しによる失点だったので、1人の責任というよりも振られた中で自分たちがひとつずつ修正していかなければならなかったと思います。そこは単純に力不足です。

相手に上手くゲームを作られた感覚でしょうか?
いや、その感覚はないです。もし相手に上手く作られていたら、あれだけ自分たちが決定機を作りだすことはできなかったと思います。そういう意味ではある程度自分たちがゲームをコントロールできましたが、クオリティーのところで対応し切れなかった部分があったと思います。

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MF 36森田 晃樹

投入時の指示を聞かせてください。
とりあえず、いっぱいボールに絡んで行ってほしいと言われました。あとは特に言われていません。

初めてのトップチームでの試合の感想を聞かせてください。
思ったよりも緊張しなかったです。ボールに絡んでみると、自分でもできるという自信も付きました。

接戦の中での投入はあまり想定していなかったと思いますが。
もし、自分が出たらどうプレーするかはベンチの中で点に絡むイメージなどをしていたので大丈夫でした。

トップチームの戦術への順応という部分で戸惑いはありませんでしたか?
まだトップにあまり絡む機会はなかったですが、少ない回数の中でミーティングからしっかりと理解できるように取り組んできました。

投入時のプレーイメージはいかがでしたか?
自分が出るとしたらボランチだと思っていたので、いっぱいボールに触って叩きながらチャンスがあれば、前に当てて自分でドリブルやシュートといった自分の特長を出せたらいいと思いました。時間が少なかったこともありますが、ボールに触る機会がちょっと少なかったです。

今後はリーグ戦デビューも期待されますが。
まず自分はユースのキャプテンなのでユースのリーグ戦やカップ戦をしっかりと勝てるように戦い、その中で自分がトップに絡んで行けるように頑張りたいと思います。

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