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MATCH試合情報

2014 Jリーグ ディビジョン2 第35節 - 東京ヴェルディ vs ロアッソ熊本

マッチレポート

【試合展開】

連戦が明けて、新体制で1週間の準備期間ができた最初の一戦。今シーズン2試合目となる駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場に、昨シーズンまでヴェルディに在籍していた巻誠一郎を擁するロアッソ熊本を迎えた。ヴェルディのスタメンは前節と同じ顔触れ。試合前日に発表された「緑の心臓」の支援を受け、今シーズン初めてユニフォームの胸にロゴが入る形となった。

ヴェルディに関わるすべての人々の気持ちをひとつにする出来事から一夜明けたチームは、やや重さが目立った。サイドを起点にショートパスをつないで打開を図るが、パスコースを限定して同サイドでの展開を封じる相手の出足の鋭さに押されて、思うように攻撃のリズムを作れない。そうこうするうちにショートカウンターから逆襲を食らい、ターンオーバーする場面が目立った。チーム全体のサポートの意識もボールホルダーの判断にも遅れが目立ち、前半の山場は、25分にワイドな展開から両サイドバックが絡んで安西幸輝がフィニッシュまで持ち込んだ場面くらいだった。

やや苦しい展開を強いられた前半を振り返り、指揮官は帰陣の早い相手に対してもスペースを使って前線の選手が飛び出すことを要求。チームとしてのまとまりを強調し、選手たちの士気を高めてピッチへと送り出した。試合展開を変えるべく、序盤から交代カードを切り、常盤聡、田村直也、南秀仁と明確な戦略的意図を持って試合運びに変化を加えた。前半に比べて自分たちのペースでボールを回し、相手のバイタルエリアまでボールを運ぶ場面は増えていったが、そうなると今度は熊本の守備ブロックを崩し切れずにフィニッシュ自体の機会が減っていく。78分に安西、79分に常盤が決定的な場面を迎えるが、ゴールネットを揺らせずに試合は終盤に入る。ややオープンな展開になり、熊本が徹底して縦にロングボールを放り込んでくる展開になるが、辛抱強くセカンドボールを拾って攻め手を見出そうとボールを動かし続けると、アディショナルタイムも終わりを迎えようとするラストワンプレーで歓喜の瞬間が訪れる。

ニウドが積極的にゴールを狙ったミドルシュートがコーナーキックになると、中後雅喜はそれまでのクロスではなく、マイナス方向へのグラウンダーのパスでトリックプレーを選択。安在和樹が合わせてシュートを放ったこぼれ球がペナルティスポット付近のニウドの前にこぼれ、ニウドが放ったシュートはゴール目の前の平本一樹の足元へ。ワントラップした平本が左足を振り抜き、シュートがゴール左上に吸い込まれていった。手を広げて歓喜のランに入った平本、ベンチから飛び出す冨樫監督をはじめとするスタッフ陣とベンチメンバー。コーナーフラッグ付近に駆け寄った平本に次々と選手が集まり、歓喜の塊ができた。再開直後にタイムアップの笛が鳴り、ヴェルディが劇的な形で2試合ぶりに勝ち点3を手に入れた。

次節は、J2リーグで首位をひた走り、すでに昇格も決めた湘南ベルマーレを味の素スタジアムに迎える。

 

 

 

【試合後選手コメント:FW 25 平本 一樹選手】

――ゴールシーンを振り返ってください。

「最後にニウドが素晴らしいパスをくれたので決めるだけでした」

――ゴールレスの展開が続いた中でどんなことを考えてプレーしていましたか?

「今シーズンは特に得点を取ることができず、数字がなかなか伸びてこなかったので色々と考えることもありましたが、こういう良いところで決めることができて良かったです」

――ヒーローインタビューでゴール数について色々考えることがあったとおっしゃっていましたが、具体的に聞かせて頂けますか?

「僕は毎年ゴールが少ないので、それに対して色々な意見があると思います。僕個人としては、FWはゴールだけではないと思っていますが、世間一般的にはゴール数だと思いますし、僕自身そういった指摘について気にする部分もあります。そして、そういった意見が正論だとも思っています」

――ベンチからすごい勢いで控え選手たちがゴールを祝いに駆け付けていましたね。

「直輝(前田)が一番乗りで来ていましたね。(前田が50メートルを6秒フラットぐらいで走ってきたと言っていましたが)なかなかつまらないコメントですね(笑)」

――なかなかロスタイムで得点する試合がない中で、ご自身が得点したことについての感想をお願いします。

「最後の最後に点を取って僕に注目が集まりがちですけど、監督が代わって雰囲気が良い中、僕が勝手に個人的な考えですが、これだけの雰囲気や環境を作ってもらったので、“後はお前たちが結果を出すしかない”という無言のプレッシャーも勝手に感じていました。その中で最近やった3試合は1勝1敗1分けで、まずまずだったと言われています。ただ、結局勝ち点4しか取っていません。そういう状況でまたスポンサーが付いてくれてヨシって時に勝てなかったり、負けちゃうともっともっと追い込まれちゃうかなと思っていた中で、監督を中心にすごい良いトレーニングの雰囲気を作ってくれて、ひたむきに頑張って来た結果がたまたま僕のところに転がって来て、たまたま僕が決めただけです。これで良い方向につながればいいなと思います。とにかく勝てて良かったです。今日の勝利は皆のおかげです」

――サポーターに向けてメッセージをお願いします。

「できるだけ早い時期に残留を決めて、気持ちの良い状態でプレーしたいと思っていますので、これからも応援をよろしくお願いします」

 

 

【試合後選手コメント:MF 23 田村 直也選手】

――試合を振り返ってください。

「前半どこが悪かったかと言えば、セカンドボールを拾えていなかったところです。そのへんを自分が入ってからは意識していましたし、それを拾えるようになってからはサイドに散らして、両サイドバックを上げていくようにしていました。後半の途中からはリズム良くやれていた印象です」

――田村選手の投入後から流れが変わった印象でしたが?

「監督もここ3試合意図を持って投入していると思うので、セカンドボールもそうですし、自分の前に対して勢いを持った守備ができれば、そこから追い越す選手も出てきますし、自分が後ろに控えていることでチュウさん(中後)も前に行きやすくなるので、そのへんを意識しながらバランスを取ることを考えてプレーしています」

――再三に渡って最終ラインを上げるように指示していましたが、監督からの指示でしたか?

「元々、その部分はやっていたことでFWとDFが35メートルのラインの中に入るというものでした。今日は相手が蹴ってくるチームだったので、中盤が間延びしていたので、セカンドボールを拾うためにもディフェンスラインを上げることと、自分がボランチに入ってからは両サイドバックを上げて、自分がバランスを取ることを意識していました」

――ここまでセットプレーでなかなか得点できなかった中での今日の得点でしたが?

「最後にアイデアが一個出て、相手がゾーンマークで高さもあるので、工夫が必要だと思っていました。ただ、素晴らしいアイデアで最後はカズキ君(平本選手)が決めてくれました。これまではロスタイムに入れられて負ける試合が多かった中で、今日は逆に自分たちが取れたので、運も出てきたかなと思っています」

――アンカーのポジションに入っていたように見えましたが?

「アンカーというわけではなかったですが、2つの意識を持ってプレーしていました。センターバックに吸収されないようにセンターバックの競ったボールを拾いに行くこと、FWの競ったボールを拾うなど、とにかくセカンドボールを意識していました。今日はそれが良い方向にいきました。また、チュウさんも自分が入ることで前に行きやすいとも言ってくれているので、それが途中からでも最初からでも自分にとって役割が明確になったと感じています」

――冨樫体制でのホーム初勝利でしたが?

「このスタジアムでは前回福岡に0-5で負けていたので、そういう意味でも勝ちたかったです。ただ、次もホームで湘南戦があるので、1週間良い準備をしていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 14 鈴木 惇選手】

――今日の結果について率直な感想をお願いします。

「前半は相手の出足が良くて、相手の方がセカンドボールも拾えていたので、なかなか自分たちのペースを掴むことができませんでした。ただ、後半に入って相手のプレッシャーも落ち着いて、オープンになってからは、自分たちのピンチもありましたが、身体を張ることができていましたし、全員で戦った結果、最後に勝ちが付いたという印象です」

――前半は相手のタイトなチェックに苦戦し、いつものボール回しができていなかった印象ですが?

「そうですね。自分を含め、イージーなミスが多くて、リズムが作れなかったことは自分たちでも感じていました」

――後半に関しては田村選手の投入もあって、途中から良いリズムでやれていましたね。

「もちろん、相手の出足が落ちてきた部分もありましたし、前半悪い中でも耐えて自分たちが勝つという思いを持ってプレーしていたことで、高い集中力を保っていられたことが大きかったと思います」

――直近3試合を無失点で終え、2勝1分けと結果が出ています。チームとして自信につながっているのではないでしょうか?

「勝っていくことで自信は付いていきますし、無失点は今後も続けていきたいです」

――ご自身としてはここ最近左サイドハーフでのプレーが増えていますが?

「運動量や走る質がまだまだと言われているので、そこを改善していきたいです。また、ゴールやアシストなど、目に見える結果を前のポジションの選手は出していかなければならないので、結果にこだわってやっていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 8 中後 雅喜選手】

――今日の試合を振り返ってください。

「前半はミスも多かったですが、相手もそこまで決定的な場面を作っているわけではなかったです。“セットプレーが重要になるな”と後半途中ぐらいから思っていたので、そういう意味ではその形からゴールにつながったので、良かったと思っています」

――田村選手の投入で前に行きやすくなったように見えましたが?

「それはここ4試合を通して感じています。やっぱり、タム(田村選手)が入ることでバランスも取れますし、守備の能力も高いので助かります。そのぶん、自分が前に出やすいのは間違いないです。ああいう状況でああいう経験のある選手が入ってくれるのは、すごく助かりますし良かったと思います」

 

 

【試合後選手コメント:GK 1 佐藤 優也選手】

――今日の試合を振り返ってください。

「試合の入りという部分ではちょっとバタバタしたところがありました。相手にペースを握られる時間も多かったです。ただ、前半は何とか無失点で終えることができました。後半はもう一回気持ちを入れ替えて、自分たちが何をすべきかを考えて臨みました。なかなか得点を決めることができなかった中、自分たちも我慢強く戦って、最終的にカズキさん(平本選手)のゴールで勝つことができて良かったです」

――耐える時間が長かった中で耐え抜いた末の勝利でした。チームとして手応えがあるのではないでしょうか?

「相手がシンプルに縦に入れて来るので、押されているように見えたかもしれませんが、そこは落ち着いて対応すれば問題ないと、試合前から話していました。そこをしっかりと我慢して落ち着いて対応した結果、“ゼロ”で終えることができました」

――冨樫体制になってからセットプレーの守備がマンツーマンに変わったり、いくつかの変更がありましたが、セットプレーの守備の感触はいかがですか?

「一人ひとりの責任が増したと思いますし、みんなが責任感を持って苦手な部分に取り組んでいることは良いことだと思います。そういった良い責任感が無失点を続けている理由だと思います」

――3試合連続無失点で終えられた要因についてどのように考えていますか?

「全員の意識が統一されていることが大きいと思います。ディフェンスラインの奮闘による“ゼロ”ではないですし、前線からしっかりとプレスをかけるというスタイルが自分たちのスタイルであることを認識してやれていると思います。前線から追ってプレスをかけて自分たちがどこに追い込みたいのか、どうボールを奪うのか、という部分を全員が意識してやれていると思います。そういう部分が相手のシュートが枠を外れる、コースが甘くなるといった部分につながっていますし、全員で守っているという意識を感じています」

――後半立ち上がりは押し込まれた印象ですが?

「相手がシンプルにどんどん縦に入れてくるので、そういうふうな印象を与えることが多いかもしれません。特に、後半頭からセイちゃん(巻誠一郎選手)が入ってポイントもできましたし、セカンドボールを拾ってどう攻めるかを意識していたと思います。セイちゃんはボールへの執着心も強いので、そういう部分で厄介な選手だったことは間違いないです。ただ、そういうところでバタバタしないことを意識してやっていました」

 

 

【試合後選手コメント:DF 34 安西 幸輝選手】

――今日の結果について率直な感想をお願いします。

「あの時間帯にセットプレーからゴールを取ったことがなかったので、チームメートに感謝しています」

――前半のチームのパフォーマンスについての感想を聞かせてください。

「前半は自分たちの右サイドから崩されることが多かったので、カバーの意識は高く持っていました。攻撃に関しては相手のプレッシャーがキツかったので、叩いて前に走り込む形を意識していました。ただ、後半に入って相手の足が止まったので、ワンツーで裏を取ったり、自分自身決定的な場面を迎えることもありました。ただ、ああいうところでしっかりと決め切らないとダメですね」

――相手の足が止まった時間帯にご自身の運動量やスプリントという持ち味が生きてきたのではないでしょうか?

「そうですね。自分自身ペース配分を考えてプレーしていますが、今日は相手が前半からかなり飛ばしてきていたので、後半に必ず足が止まると思っていました。結果、足が止まったので、ニウドとのワンツーやドリブルでフィニッシュに絡むことができました。ただ、シュート精度やラストプレーの精度を上げていかなければならないですね」

――田村選手の投入以降、積極的に攻撃参加する回数が増えた印象ですが?

「そうですね。タムさん(田村選手)はすごくカバーリングをしてくれるので、自分としても冨樫監督がタムさんを投入したことで、攻撃に出る合図だなと感じていました。自分としても持ち味のスプリントが何度か出せました」

――ここ最近は中に切り込んでからの左足のシュートというフィニッシュが目立っていますが?

「やっぱり、相手も研究してきますし、中に切り込んでのシュートという形が理想ですが、今後は縦にも勝負していかなければならないと思っています。あとは、カズキさん(平本選手)にも試合後に言われたのですが、もっと周りをうまく使いながらその中で自分がどう生きるかを考えてプレーしなければならないと感じています」

 

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫 剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「今日までの間の3試合とトレーニングも含めて選手がハードワークして前を向いてトレーニングしてくれていた中で3試合が終わって、今日はちょうどみんなの中でもメンタルコンディションも含めて一番重いゲームだったと思います。その中で強い気持ち、また、サポーターの最後まで応援する気持ちが、最後のリスタートに乗っかって、自分たちに勝ち点3が来たと思っています。本当に選手たちとスタッフとサポーターに感謝の1勝です」

――変化をつけてのリスタートでしたが、どのように指示を出したのでしょうか?

「自分になって大きく変わったひとつが、リスタートのマンツーマンだったと思います。それについては、ゲームでももちろん、トレーニングでもまだ一度もやられていません。攻撃に関しても、やっぱり自分たちはそこまで強い選手がまだまだいない中で、今回の熊本のゾーンに対して、どうやってリスタートで崩していくかがテーマのひとつにあって、ずっとゲームの中でなかなか使わないなと思っていて、交代した南にちょこっとだけ言って、どこかのタイミングで共通理解をもってリスタートしなさいという話をした中で、最後の最後にああいう形で結果に表れて、本当に選手たちがよく冷静に、自分よりも冷静に最後の最後にゲームの勝ち点3をとるということを諦めないでやっていたなと思います」

 

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