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MATCH試合情報

2015 明治安田生命J2リーグ 第15節 - 大分トリニータ vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

ゴールデンウィークの6連戦の初戦から勝利がなく、前節の引き分けで3試合連続ドローと勝利から遠ざかっているヴェルディ。特に内容の部分で相手を圧倒したジェフユナイテッド千葉戦、京都サンガF.C.戦を考えれば、なんとしても結果が求められる一戦となった。相手は下位で苦しんでいるとはいえ、2シーズン前にはJ1で戦っていたチーム。敵地での勝利がないヴェルディにとっては、そうした今シーズンのジンクスも破りたい一戦となった。前節までメンバーを固定してきたが、今節は南秀仁に代えて澤井直人をスタメンで起用。ブルーノをトップ下に置く形で相手の4-1-4-1とのギャップを突く狙いを持って試合に入った。

序盤はセイフティーな気持ちが強い両者が大きなボールを多用し、縦に急ぐ試合展開となった。じっくりつないでいきたいヴェルディだが、陣形が間延びすることを気にせずに前へのプレッシャーを強める相手を前に、ロングボール合戦にお付き合いするような形になった。徐々にボランチを経由して長短織り交ぜたパスでリズムを作れるようになると、コンパクトな陣形を維持して前を向いてボールを高い位置へ運ぶ場面が見え始めた。その矢先、ヴェルディをアクシデントが襲う。相手のバイタルエリアでボールを受けたブルーノがターンで相手をかわした際に芝に足をとられて負傷。そのままピッチを離れる事態に。冨樫監督が切ったカードは南だった。これが功を奏したのか、南がテンポよくボールを動かしたりドリブルで運ぶことで、ブルーノが抜けた穴は大きくならずに済んだ。前半の終盤にはビッグチャンスを迎える。35分、平本一樹がドリブルでペナルティエリアに侵入して強烈なシュートを放ち、GKがはじいたボールに反応した澤井が強シュートで押し込んだが、これもGKに右足一本で弾き出された。その流れのコーナーキックから、ワンクッション挟んでファーサイドにボールが流れていく。相手が完全にボールウォッチャーになって田村直也がフリーの状態でゴール目前でクロスに合わせたが、狙いすましたシュートは枠のわずか外へと逸れていった。立て続けに決定機を作り、後半に向けて良い流れを残して試合を折り返した。

しかし、後半の立ち上がりから、予想外に前への圧力を強めてきた相手に押し込まれ、自陣に釘付けにされる時間が続いた。コンパクトな陣形を維持するため、深い位置でボールを奪ってからの攻撃では相手ゴールへの距離も長く、前線の選手へのサポートも薄くなってしまう。また、ロングボールがターゲットにピンポイントで入る場面も少なく、相手の守備陣に撥ね返されてまた押し込まれる悪循環に陥った。その嫌な流れを変えたのはふたつの交代策だった。最初は右サイドバックの安西幸輝に代わって入った高木大輔。アグレッシブな姿勢で相手に寄せ、積極的なコーチングで味方を叱咤激励する。徐々に自分たちの形を失いかけたチームにとって、高木の前への積極性は攻撃姿勢の再生を促した。そこにさらなる勢いを加えたのが、終盤の永井秀樹の投入だった。ボールを落ち着かせて相手をいなし、中盤でマイボールを保持して後方からの援護を待つ時間を作り出す。徐々に高い位置で選手がボールに絡むようになると、形成が逆転した。86分にセットプレーからポストに直撃する決定機を作られた直後、右サイドにボールを置いて細かくつないで相手の様子を窺い、高木と杉本竜士のワンツーで高木がスペースへと飛び出す。マイナス方向に折り返したボールは浮き球になったが、ペナルティエリア際ゴール正面で受けた永井がワンタッチでコントロール。寄せてきた相手よりも一瞬早く、中央に位置取りした平本へくさびをいれる。平本がワンタッチでボールをマイナス方向へ落とすと、リズムを作っていたのとは逆サイドの安在和樹が走り込みながら左足アウトサイドで豪快に蹴り込み、ゴールの隅を突いてネットを揺らした。その後、縦への圧力を強める相手に対して、佐藤優也がロングボール攻勢を封じてペナルティエリアを制圧。アディショナルタイムを相手陣内で上手く過ごして1-0で逃げ切り、今シーズン初となるアウェーでの勝利、そして6試合ぶりの5勝目を手に入れた。

 

 

【試合後選手コメント:FW 25 平本一樹】

「今日はすごく暑くて……。前の試合もですが、自分の中で物足りないです。勝てましたけど、個人的に全然ダメでした。僕がダメだと攻撃が成り立たないので、それを自分自身で考えてやらないといけないですね。僕のメンタルの部分で、90分の中で浮き沈みがあって、そこを変えていかないといけないです。(後半にはチャンスもあったが?)竜士と僕がふたりで前を向いてプレーしたら相手も嫌だろうし、そこでチャンスを作れている部分は前から話し合っているところです。でも、決めないと映像にも残らないし、記録にも残らないので。ただ、2トップでゴール前まで入っていけるというのは分かっていることなので、もうちょっとコンビネーションを深めていきたいですね。周りの選手には、僕にボールが入ったところで動きの質を高めれば、もっと楽に前を向いてボールを運べるから、そこはもうちょっと話をしていかないといけないですね。若いチームだから、つけて取られたら嫌だなと思って裏に蹴ってしまったりする。経験積んで、そこで相手の嫌なところにいる僕にくさびをつける勇気が持てれば変わってくると思います。今日はアンカズ(安在和樹)のお陰でしょう。次の試合は八王子市サンクスマッチですし、連勝できるようにしっかり準備します」

 

【試合後選手コメント:GK 1 佐藤優也】

「後ろはゼロで抑えるのは常に頭の中にあって、それは試合を通じてセンターバックとコミュニケーションをとっています。まずそれを達成できたことは、勝利につながったのかなとは思います。ピッチで戦っている人間としては、前半はそこまで自分たちが押しているイメージはなかったですけど、外から見ていると割と自分たちのペースになりつつあったように見えていたみたいで、今はそうだったのかなと感じています。後半は我慢の時間が長かったけど、常に我慢しているからそう感じてしまう部分はあります。そこからペースを取り戻せたのは、ディフェンスはしっかりと耐えて攻撃にパワーのあるパスを出すことを意識していたので、それが噛み合ってきたのかなと。(相手はサイドや深い位置から長いボールを入れてきて、処理する場面が多かったが?)自分の中では、終盤にも相手が大きい選手を入れてきて、出られるボールは自分が出て止めるのがチームとして一番楽な守り方なので、いつも狙っているところではありますけど思っていました。ただ、ゴールを狙われたらしょうがないので、そこをケアしながら自分ができることはしようかなとプレーしました。6試合ぶり、そしてアウェーでの勝利ということで、この1勝が持つ意味はだいぶ大きいと思います。順位は関係なしに、アウェーで勝てたことは大きいと思います。(ゴールデンウィークに失点ゼロで抑えながらも勝ち切れなかったことがようやく報われた?)連戦の時期の結果を見ても、ディフェンスラインはすごい我慢していたので、そういう部分で自分は前の人間に託すしかないし、自分の第一の仕事である失点ゼロという結果を残せたことで勝利に貢献できたのかなとは思いますね。次のホームで連勝できるように、後ろは次も我慢強くゼロに抑えることを目指します」

 

【試合後選手コメント:FW 18 高木大輔】

「練習ではサイドバックでやっていて、見ていて幸輝があまり気持ちよくできていない感じがあったし、ほんの少しですがサイドバックもあるかなと準備をしていたので良いイメージもありました。トガさん(冨樫監督)から言われたのは、きつい状況だし前がぼやけているからお前から声を掛けてくれということでした。その声を掛けながらもチャンスがあったらどんどん前に仕掛けていいということだったので、アシストのアシストのような形でも得点に少しでも絡めたことは自分にとって、これからプラスになると思います。(得点の場面は)竜士君が一回ボールを止めたので、それが良かったのかなと思います。僕が預けた勢いのままスペースへ出てもらってもオフサイドになっていたので、竜士君が一回止まったところで相手も足が止まったところで僕が前に出られて、良いパスが出てきたので。スペースで受けた時には、永井さんの声しか聞こえませんでした。中を見る余裕もなく永井さんの声がする方向へクロスを送る形で、後は永井さんが上手く収めて良い形に持っていってくれたので、つなげてくれた永井さんに感謝しかありませんし、自分を信用してパスを出してくれた竜士君、落とした一樹さん、決めたアンカズ(安在和樹)にも感謝したいです。肝になったのは、僕のパスが浮いたのを永井さんが収めてくれたことです。僕からしたら一杯一杯で出したパスを皆がよくゴールまでつなげてくれたなという感じです。アウェーですけど、サポーターもすごく大きい声で応援してくれましたし、何としてもアウェー初勝利をしたかったので。自分としては、出場した試合で今シーズン初めて勝利できたので良かったです」

 

【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「ここまで自分たちもなかなか勝てていなく、大分さんも苦しい中での戦いで、自分たちは今日の戦いはアウェーですけど本当に攻撃の部分、シュートの部分にこだわりを持って練習をしてきました。またアウェーにも関わらず、本当に心のこもっている声援があり、自分たちは堂々と戦えたのではないかなと思います。戦いの部分は、目に見える部分と我慢強く戦う部分と両方ある中で、我慢して最後の最後であのような形で交代して入った選手がチームを前に運んでくれました。あのゴールはチームの力だと思います。ですので、本当に選手に感謝しています。ただ、自分たちはまた続くゲームの中で、次のゲームは大事だと思っていますので、また1週間しっかりとトレーニングして次のゲームに向けて、ホームで勝ち点3をとれるようにしたいと思います」

――今日の試合は交代選手が流れを決めたと思うのですが、安西選手に代えて高木選手を投入した理由、澤井選手に代えて永井選手を投入した理由を教えてください。

「大輔を投入した理由は、右サイドの安西幸輝のモビリティと攻守で少し物足りなかったので、あと大輔は声も出て周りに勇気を与えてくれる選手なので、大分さんのリスタートが怖かったので、集中力が途切れないように彼の投入で集中力をつなげる意図がありました。そして、永井を入れてのは、システムをダイヤモンドにしてオープンな形でサイドを高い位置をとって、空間はあったので永井の前を向いてゆっくりしたドリブルの中から変化をつけてサイドを割って、クロスに対してゴールをとるようなイメージがありました。実際に大輔からのマイナスの折り返しに永井が視野の広さを活かして、相手がコンパクトにしている逆の背後のサイドを使ってゴールを奪ったのは、選手たちのアイデアであり、また自分たちがあのような形で点を取ろうと言ったトレーニングの形だったと思うので、選手たちはそこをよく見ていたと思います」

――今シーズン、若い選手を我慢強く使って、そこから結果が出ているように感じます。

「若い選手を我慢して使えるのは、経験のある選手が軸になってくれているからで、若い選手が思い切ってできる環境を――トレーニングから――経験者が作っているからです。例えばミスをカバーしてくれるような形がチームとしてあるので、自分自身も我慢強く使えているところです。ゴールデンウィークはなかなか勝てなかったですけど、それでも去年表れなかった攻撃の形であったり、去年から出ている我慢強さは出ていると思うので、これから若い選手たちが数字という結果を残していければいいなと期待しています」

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