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MATCH試合情報

2015 明治安田生命J2リーグ 第32節 - 東京ヴェルディ vs V・ファーレン長崎

マッチレポート

【試合展開】

前節、敵地でのザスパクサツ群馬戦に3-1で勝利し、リーグ戦での連敗を止めたヴェルディ。プレーオフ圏内の争いはわずかな勝ち点差に数チームがひしめく接戦で、上位勢がこぞって勝利したという状況もあって、非常に大きな勝利となった。ホームに戻ってきた今節からは1週間で3試合をこなす過密日程での連戦。中2日でのホーム連戦のため、勝ち点を上積みしたいところ。本日は味の素フィールド西が丘にV・ファーレン長崎を迎えた。ヴェルディは前節からセンターバックと2トップを変更。ウェズレイに代えて田村直也を、高木大輔に代えて高木善朗を起用し、右サイドMFには南秀仁が入った。

序盤から両チームの対照的なスタイルがピッチ上にコントラストとなって表れた。ヴェルディは最終ラインから丁寧にビルドアップし、相手を揺さぶりながらゴールを崩しにかかる。一方の長崎はロングボールを多用し、セカンドボールを拾って高い位置でラッシュを掛ける戦いに徹してきた。ラインを押し下げようとする相手のロングボール攻勢に対して、ヴェルディはラインをコントロールし、全体の陣形が下がり過ぎないように対応する。序盤こそ我慢強くコンパクトな陣形を維持していたが、相手のロングボールを撥ね返した勢いのまま蹴り返すような、ロングボールの蹴り合いを強いられるようになっていく。ただし、守備に関しては焦れずにファーストディフェンスとセカンドボールへの対応を徹底し、球際でも粘り強く身体を投げ出して対応してピンチらしいピンチを作られなかった。一方で攻撃はミスも多く、バイタルエリアではボールホルダーへのサポートが遅く、選手個々が孤立する場面が目立った。結局前半のシュートは2本に終わり、相手に付き合う格好となった。

ハーフタイムに冨樫監督は相手のセットプレーに対する警戒を口にしていたが、後々にこれが的中する形となった。攻撃面では2トップのモビリティに対して細かく指示を出し、スペースに向けたダイアゴナルランなど大きな動きで相手を揺さぶるよう指示。これに沿うように、高木善が斜めにスペースへ走り抜けてボールを引き出し、中盤から選手が飛び込んでいくスペースを作った。相手にボールを持たせる時間を限定し、ボールを奪われても素早い攻守の切り替えでロングボールのキッカーにチェイスし、コントロールがずれたロングボールを井林章と田村のセンターバックコンビがことごとく撥ね返していた。しかし、わずかなきっかけで均衡が崩れる。61分に安西幸輝を投入した直後のファーストプレー。背後に流れてきたダイレクトパスに安西と相手選手が追いすがる。安西がボールに先に届いたように見えたが、背後から滑るように転倒した相手を観てレフェリーは安西のファウルを宣告。安西が手を使ったり身体をぶつけにいった様子は見えなかったが、フリーキックを与える結果となった。このフリーキックを相手は低い弾道でニアに蹴り込む。虚を突かれたヴェルディの選手のマーキングが遅れ、そのまま広大に空いているニアサイドにヘディングシュートを流し込まれた。ここからヴェルディの猛反撃が始まる。右サイドの南を起点にしてボールを動かし、相手を手玉にとってサイドを割ってバイタルエリアに侵入していく。最大の山場は75分、ゴール前の密集を抜けた南のシュートがポストに当たって撥ね返り、これに田村が真っ先に反応する。追いすがった相手GKと田村が交錯するが、これはノーファール。近くで見ていたヴェルディの選手たちはファウルをアピールしたがレフェリーの判定は覆らず。その後もバイタルエリアに何度となく侵入したが効果的なシュートを放つことはできず、数多く作ったセットプレーのチャンスも生かし切れずにホームで手痛い敗戦を喫した。

連敗を止めて再び上昇のキッカケを掴みかけたに思えたが、様々な要因からホームでの勝利を逃した。次節も続くホームに迎えるのは首位の大宮アルディージャ。天皇杯を含めて今季の対戦成績は1勝1敗。なかなか内容と結果が伴わない状況下では、相手の順位、戦い方、戦力といった様々な要因が大きく見えてしまうが、ヴェルディに問われているのはまず自分たちの戦いを安定してできるかどうか。次節、若いチームがこの敗戦を成長の糧にできるか、今シーズン終盤戦の争いを左右する分水嶺になることは間違いない。

 

 

【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹選手】

――試合を振り返ってください。

「相手は失点が少ないし、守備が堅いチームなので、1点獲れたら相手も前に出てきて追加点を獲れるというイメージも持っていましたが、先に獲られると、より相手は守備を固めてくるというところで、今日は先に失点してしまったので、チャンスは作りましたが、そこで決め切る力がなかったと思います」

――試合の入りは良かったですが、前半半ばからやや苦戦する展開でしたね。

「前半の公式戦の記録を見ると、シュートを2本しか打っていないので、良い感じに見えましたが、相手は怖くなかったと思います。もっとシュートを打っていっても良かったと思います」

――後半に関しては少し攻撃に躍動感が出てきた印象ですが。

「そうですね。決められるチャンスもありましたし、そこで決められれば良かったのですが、セットプレーで一発やられてしまってからは厳しい展開でした」

――失点以降のチームのバランスという部分はいかがでしたか?

「今日は先に失点してはいけないという部分に尽きると思います。特に、交代した直後にウチの右サイドのところでロングボールをバンバン蹴られていたので、そこで交代直後にファウルをしてしまって、そこからの失点だったので、全部悪い方向に進んでしまったという印象です。そこは経験であったり、試合を読むというところができていれば、ああいうところでファウルを与えないこともできたのかと思います」

――厳しい敗戦直後に中2日で首位の大宮との対戦ですが。

「幸い、すぐに試合があるのは良いことですが、その相手が大宮ですし、その次も福岡なので、ここは何処かで食い止めないと一気に行ってしまうので、とりあえず勝ち点を積んでいきたいです」

――勝てば差が詰まるという部分で上位陣との対戦に関してどのように捉えていますか?

「上位とやる場合、最悪勝てなくても引き分けで勝ち点を拾うのも今後に向けて大事なポイントだと思います。それは今日の試合に関しても最低1ポイントは獲らなければならなかったと思っています」

――熾烈なJ1昇格プレーオフ圏内争いを戦っていることに関してどのように感じていますか?

「一個勝てば上位にプレッシャーをかけることができますし、落とせば落ちていくというプレッシャーがある中でやれているのは良いことだと思います。ただ、去年の残留争いというプレッシャーに比べたら、楽しんでやれていると思います」

 

 

【試合後選手コメント:FW 33 高木善朗選手】

――後半途中からの役割の変化に関して教えてください。

「アラン(・ピニェイロ)が(杉本)竜士よりヘディングが強いので、そういうプレーを生かすために少し引き気味にプレーしていました。あとはセカンドボールを拾って相手と入れ替われれば、チャンスに繋がるので、そこは意識しました。前半に関しては相手が蹴ってくる場面が多かったですが、ちょっと相手の出方も変わってきたので、自分が起点になってカウンターを狙いました」

――前後半での杉本選手との距離感に関して教えてください。

「前半も近い距離間でプレーしようとしていましたが、相手がすぐに蹴ってしまうので、相手が蹴ったボールをヘディングに行って、また近くでプレーするというのはなかなか難しかったですし、前半に関してはある程度仕方ないと話していました。後半は相手が間延びしたこともあったので、一人下がったら一人が前に行くというような関係性を意識してやっていました」

――今日のような相手から得点を獲って勝ち切りたかったですね。

「そうですね。それが課題だと思いますし、ここで崩し切れない、得点を獲れないのはチームとしての課題です。どうにかこじ開けるとか、PKをもらうとか、良い位置でFKをもらうとか、今日もなくはなかったと思います。PKもあったし、FKのシーンもありましたが、そういうのは運でもあると思います。今日のような相手にどうやって勝っていくかが、残り試合で大事なポイントだと考えています」

――引いて守ってくる相手に対して、ワンチャンスを与えて敗戦していることが続いていますが。

「チームが成長していないわけではないですが、運もありますし、たらればになってしまいますが、こういうプレーをしていれば、もっとシュートを打っていればという後悔がないようにやっていきたいと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 8 中後雅喜選手】

――試合を振り返ってください。

「今日は相手の作戦というか、戦い方にやられてしまいました。自分たちのやりたい戦い方がなかなかできず、ロングボールをとりあえず蹴られて、そのセカンドボールを拾われる形になっていたので、少し自分たちのペースで試合を進める時間が少なくて、それがセットプレーという形でありましたが、結果に繋がってしまいました。得点に繋がるセットプレーの前も長いボールを蹴られて、それを最後まで諦めずに追った際にファウルを取られてしまったので」

――今日は相手に研究されているという部分を感じましたか?

「研究されているというよりも、ああいう戦い方をする相手が多少は作戦を練ると思いますし、長崎がペースを握るために勝つためにやったサッカーだと思います。自分たちがそういう戦いを相手がしてきた時に、どう対応するかという部分でなかなか対処できなかったので、後半途中に自分たちにペースが来てチャンスになりそうな時間帯を作れましたが、その時間が少なかったです。そういう部分が自分たちの力のなさでもありますし、色んな相手がいる中で、強いチームはそういう中でも勝っていくと思います。まだまだ自分たちは力不足ですし、成長できると感じさせられる試合でした。正直、何もやらせてもらえなかったというのが感想です」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「本当に最後まで選手たちは戦ってくれて、ゴールを目指して身体を張って、またすごく気持ちの入ったサポーターからの声援も届いていて、自分たちがしっかりとゲームに勝つためのことをやり切ってくれた中で、勝たせてやれなかったことに対して、非常に悔しい気持ちであり、申し訳ないと思っています。内容は見てもらった通りで相手も何か感じると思いますし、自分たちが今やれることはやれたのかなと思います。ただ、もう少し最後のところでシュートを打ちたかったとも思っていますし、サッカーはこういうものなのかと、改めて思ったゲームです。ただ、自分たちは強い長崎相手に戦えたと思いますし、これから連戦があって、まだまだ自分たちが示していく戦いは続いているので、ここからまた期間は短いですが、良いトレーニングをして、また自分には戦える選手がたくさんいるので、チーム一丸となって次の大宮戦に向かっていきたいと思います」

――失点する前あたりに高木善朗選手の裏を狙うプレーに対して、ピッチサイドから褒める様子が見られましたが、あの形の攻撃を続けていくことでゴールを奪えると考えていたのでしょうか?

「彼らの(スペースが)ない背後に対して、良いタイミングでダイアゴナルに入っていって、そこを起点に間を広げて、ペナルティエリアに中から外、外から中という形で侵入していきたいという考えがありました。それをハーフタイムに中でもう一度修正して、実際に善朗の場面だけでなく、それ以外のところで、特に右サイドのところで中から外、外から中という形でボランチの脇を使いながら3バックの背後、そこにクロスであったり、マイナスのボールであったりというのは、何度か出てきたとは思います。前半はその中でも動きが小さかったので、ああいう動きを入れてほしかったので、すごく意図的に善朗がやってくれたので、良いプレーだと伝えました」

――久々に田村選手をセンターバックで起用した意図と評価を教えてください。

「自分たちがコンパクトにサッカーをしていく中で、背後の管理とファーストディフェンスの高さというところで、いつもよりも少し下がった位置でのプレッシャーという中で、ファーストディフェンスの位置から自分たちはディフェンスのラインまでの高さがある程度決まっていて、その中での背後の管理もしていかなければならない。その中でセンターバックとしてサイドバックとして、背後に対しての縦の関係、チャレンジ&カバーの関係で、(田村)直也は気が利くので、そこを期待して出しました。そこからクサビに入ったボールにも行かなければならないので、そういう意味ではすごくアラートな状態でプレーしてくれたと思います。また、ビルドアップのところでも直也はうまいので、非常にスムースにファーストボールが出ていたと思います」

――中から外、外から中という展開は非常に良く見えましたが、そこからの展開がワンテンポ遅れてうまくいかなかった印象ですが。

「そうですね。自分たちがそこからワンツーであったり、パス&ゴーであったり、また3人目の動き。そして、ひとつ遠いところのサイドハーフや相手の3バックとの間に入ってくるボールを意図して崩していきたかったという部分は、トレーニングの段階からやっていましたし、選手たちもハーフタイムに話し合っていたので、そこがひとつ上手く合えば、良かったなというふうには感じています。ただ、選手たちはそのへんの意図を持ちながらやっていたのかなと考えていますし、そこを合わせてしっかりと崩すところまで行くという部分が、ここから先、必要になってくると思っています。しっかりとその先までいけるようにトレーニングをしていきたいと思います」

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