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MATCH試合情報

第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦 - ロアッソ熊本 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

2週続く天皇杯ウィーク。その2回戦は、熊本に乗り込んでロアッソ熊本と対戦した。数日前に発生した台風12号が九州地方を直撃するという予報もあったが、進行速度が遅く大きな影響はなく、雨も降らないまま試合を迎えることができた。ヴェルディは先週に行なわれた1回戦から若干メンバー構成を変更。左サイドバックに田村直也を置き、ボランチは中後雅喜と井上潮音を組ませた。1トップにドウグラスを置き、2列目には右から澤井直人、二川孝広、高木善朗を並べた。

 

序盤からテンポをつかんだのはヴェルディだった。1トップと2列目のところでボールが収まり、特にキレキレで相手を翻弄した高木善がゴールに向かう推進力となる。最初のチャンスはその高木善が迎えた。7分、右サイドからくさびのボールがドウグラスに入ると、相手を引きつける絶妙な身体の向きでボールをスペースへ落とすと、そこに高木善が飛び込んでフリーでシュートを放つが、果敢に飛び込んできた相手GKに弾かれた。その後も相手陣内で試合を進めていたが、8分にエアポケットが空く。カウンターから左サイドを突破されてバイタルエリアに飛び込まれると、ゴール前に戻る人数が足りずにクロスを入れられ、ファーサイドで詰められて押し込まれて失点。幸先の良い立ち上がりを期待できる展開から一転、苦しい試合を強いられる予感がピッチに漂った。そこで発奮したのは、特定の選手ではなく緑のユニフォームをまとった11人のチームだった。最終ラインは勇気を持って高い位置でラインをコントロールしてコンパクトな陣形を保ち、熊本のロングボール攻勢にもセンターバックコンビがチャレンジ&カバーを徹底して撥ね返し続け、高い位置で攻撃を始めるきっかけを作る。ダブルボランチもテンポよくボールを動かしてヴェルディ独特のリズミカルな組み立てを見せると、そのテンポを変えてダイレクトプレーを仕掛ける役目を2列目の選手たちが請け負った。ドウグラスは相手からファウルすれすれの執拗なマークを受けながらも、これをものともせずにボールを足元に収め、追い越していく味方を生かして後方からの攻撃参加を促していく。チームで流れを取戻し、28分にはコーナーキックのこぼれ球を拾った澤井が思い切りよく右足を振り抜くと、ゴール前で平智広がコースを変えてゴールへ流し込んで同点に追いつく。圧巻は43分、二川からのパスを受けた高木善朗がバイタルエリアをドリブルで横断しながら中央から右サイドへと流れていき、腰を反転させながら対角線のゴール左隅に鋭いミドルシュートを流し込んで逆転に成功した。

 

ハーフタイムにしっかりと追加点を狙って勝ち切ることを求められたチームは、早速答えを出す。50分、ボランチが左サイドで細かくボールをつないで起点を作ると、田村が中央へ切れ込みながら鋭いクロスを入れる。ゴール正面のドウグラスに引き寄せられた相手DFの頭上を越えたボールは、ファーサイドからフリーで飛び出した澤井の足元へ。絶妙なタイミングでオフサイドラインを突破した澤井は、落ち着いてトラップしてGKの出端を突いてゴールへ流し込んだ。その後は相手が反撃に出てくるところを引かずに受け止め、最終ラインの圧倒的な高さで相手FWへのロングボールを寸断し、高い位置でマイボールをコントロール。66分には右サイドの深い位置で澤井が相手に囲まれながら巧みに抜け出してファウルを誘いフリーキックを得る。高木善がゴールキーパーが飛び出せないゴール前の絶妙な位置に入れたボールに、平が打点の高いヘディングで反応して試合を決める4点目を挙げた。

 

ここからヴェルディはやや陣形が間延びし、相手の攻撃を受け身に回って凌ぐ時間が続く。あと一歩というところまで相手に迫られる嫌な流れになりつつあったが、後味の悪い終わり方ではせっかく連勝してもリーグへはつなげられない。そこで結果を出したのが、途中から投入された北脇健慈、南秀仁、高木大輔の3選手だった。所定のアディショナルタイム3分を越えた90+4分、中央の北脇から左に開いた南にパスを通し、南のクロスに合わせてゴール前に飛び込んだ高木大が押し込んでゴール。直後にタイムアップの笛がなり、これ以上ない形で流れを取り戻して試合を締め括った。

 

相手が連戦真っ最中の熊本だったとはいえ、ヴェルディがチームとして戦うスタイルをしっかりと示せたことは大きな収穫だ。リーグ戦ではないとはいえ、今シーズン初の連勝を果たしたこともチームの自信につながる。ゴールを決める形を示した良い流れを再開するリーグでの反撃にしっかりとつなげるために、この1週間のトレーニングを大切にして水戸へと乗り込みたい。

 

【試合後選手コメント:DF 5 平智広選手】

――移籍後初ゴールを含めて2ゴールの大活躍でしたね。

「ウチがたまたま点を取ることもできましたが、相手に点もやってしまい、まねいたピンチの数を考えれば、どっちに転がってもおかしくない試合でした」

――1点目は澤井選手のミドルを触ってコースを変えましたが、狙い通りですか?

「練習からのモノというか、あそこでは直人がシュートを打つと思っていたので、そこでこぼれてくると思い、触っただけでした」

――2点目は高木善朗の絶妙なクロスを大外から綺麗に頭で合わせましたね。

「相手がゾーンでマークを付けていなくて、善朗がすごく良いボールを上げてくれたので、あれは触るだけでした。良かったです」

――移籍後初ゴールの感慨はありますか?

「そうですね。自分はディフェンスの人間なので、あまりゴールでチームに貢献することはないので、今日に関しては点を取れて良かったです」

――2ゴールの割に、あまり嬉しそうに見えませんが、喜んではダメなのでしょうか?

「はい(笑)。守備でもっとちゃんとした試合をしたいと思っていたので、最後もピンチもあったので、そんな喜ぶ試合ではないと思います(笑)」

――失点の場面に関して説明をお願いします。

「相手が2列目から走ってきた選手でしたが、全くチームとして対応できず、フリーで完全に崩されてしまいました。そこはチームとして崩されたものだったので、練習からもっとコミュニケーションを取っていきたいです」

――町田時代の1ゴールを含め、これで天皇杯3点目ですね。

「まあ、リーグ戦では取ったことがないので…」

 

 

【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】

――先制点を奪われてから良い反発を見せましたね。

「1失点目はワンツーでかわされてしまったので、やっぱり点を取り返してやろうという気持ちだったので、点を取れて良かったです」

――失点後もあまりチームとして慌てなかった感じでしょうか?

「今シーズンは早い時間帯に点を取られることが多かったですが、今日は前半のうちに逆転できて良かったです。チームとして失点後に大崩れしなかったことは、成長だと思います。そこは良かったと思います」

――相手の疲労を感じる試合になりましたね。

「熊本は本当に良いチームですが、今日は疲れていると感じました。サイドバックもほとんど攻撃に参加できていなかったです」

――直近2試合でプレースキックから2アシストとフィーリングが合ってきている印象ですが。

「天皇杯のボールは軽くて蹴りやすいので(笑)。小さくて軽くて、フィーリングは結構良いです。なので、リーグ戦になってみないと分かりません。トラップとかはしにくいんですが、蹴りやすいです」

――今季初の連勝で次の水戸戦を迎えますが。

「前回、ホームで0-3で負けているので、その借りは返さないといけないですし、個人的にも2戦連発中なので、3戦、4戦と伸ばしていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:FW 18 高木大輔選手】

――今季2度目の兄弟アベック弾でしたね。

「そうですね。良かったです。今日はミスも多かったですし、最後に点を取れて良かったと思います」

――北脇選手とともに途中出場の2トップでアグレッシブなプレーを見せていましたね。

「相手を嫌がらせるのが狙いでしたが、もっとうまくやれれば、良い形で攻撃に繋げて点も取れたと思いますし、攻められている時間に僕も健慈君もミスがあったので、そこは大いに反省していきたいです。ただ、点を取れたことは良かったので、次に繋げられるようにいけばいいと思います」

――久々の出場で試合勘はいかがでしたか?

「現状、僕はそういうことを言っていられる立場ではないと思いますし、チャンスをもらったからには、結果で応えるしかないと思っていました。点を取れたことは良かったですが、それ以外の場面ではイージーミスもあったので、また練習からアピールして頑張っていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 14 澤井直人選手】

――ゴールシーンを振り返ってください。

「今シーズンはああいう形を常に狙っているので、タムさんがボールを持った時は、中に入って行こうと思っていました。やっぱり、中にあれだけ人数をかけられるとゴールに繋がっていくと思うので、今後も意識していきたいです」

――ゴール以外にも惜しい場面がたくさんありました。

「何回も良いパスを皆がくれたので、決めなければダメでした。前半に3本のシュートを打ちましたが、そのチャンスで1点でも決めなければいけなかったと思います。ただ、後半に決められたことは良かったです」

――ピッチの中で相手の疲労度合いは感じていましたか?

「そうですね。熊本は7連戦のうち、今日の試合が5戦目だったので、本当に苦しい状況で戦っていたと思います。ただ、気持ちが本当に左右すると思っていましたが、相手のことは考えず、自分たちが上回れれば、勝てると思っていたので、良かったです」

――そういった相手に対して、背後を狙うプレーはかなり嫌なプレーになりましたね。

「攻撃でああいった形をもっと増やせれば、リーグ戦でももっと勝ち点を積み上げられると思います。天皇杯でできたことを、次週からまたリーグ戦も始まるのでそれを攻撃の部分でもっと話し合っていきたいです」

――今季初の公式戦の連勝ですが。

「試合前から天皇杯とはいえ、連勝がどれだけ大事かということは話し合っていましたし、今日の試合にかける思いは皆にあったと思います。連勝することでもっとチームの雰囲気も良くなってくると思うので、またリーグ戦で勝てるようにしていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:DF 23 田村直也選手】

――左サイドバックで先発し、アシストも記録しましたね。

「前半はちょっと幾つか左足のパスでミスがあり、そこからは割り切って得意な右足を使ってやるようにして、それで良くなりました。1失点の場面以外は良かったと思います」

――ヴェルディでは左サイドバックで初先発だと思いますが。

「ヴェルディでは初めてですが、仙台時代によくやっていました。久々だったので色々ありました。練習でもほとんどやっていなかったので、ちょっと難しかったです。ただ、途中からはうまくやれたと思います」

――平選手が左サイドバックでプレーし、田村選手がセンターバックという可能性もあったと思いますが。

「監督の中で今はイバと平でセンターバックを組ませて、自分はどこでもできるから、という感じだと思います。自分の中でも左もできると思わせれば、チャンスも増えていくと思います」

――熊本の疲労を色濃く感じる試合でしたね。比較的フリーでクロスを上げられる場面も多かったですね。

「澤井が結構フリーでいる場面が多く、ちょっと熊本はどうしたのかなという感じにマークがぼけていて、ラッキーでしたね。個人的にはリーグ戦でもアシストしていきたいです」

――今季初の公式戦の連勝ですが。

「これでリーグ戦に向けて良い流れで行けると思うので、リーグ戦は調子が良くないので、また勝てるようにしたいです」

――リーグ戦では直近2試合で敗戦した水戸が相手ですが。

「前回も大敗し、ウチのサポーターにも悲しい思いをさせているので、アウェイですが、勝ち点3を持ち帰りたいです。これからは本当に総力戦となっていくと思うので、誰が出ても勝てるようにしたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 32 二川孝広選手】

――今日のチャンスの作り方という部分はいかがでしたか?

「ボールを奪った後、ディフェンスからもらうことを意識していました。サイドバックからボールを受けて、次に繋げていく形を作っていきたいと思っていたので、しっかりと落ち着かせる意味でも、そういうプレーが必要だったと思います」

――決定機に繋がるパスを出していた回数が多かった印象ですが。

「良いコンビネーションであったり、どんどん動き出してくれる選手もいたので、ある程度良い形を作れていたので、あとは最後の精度を上げていければと思います」

――ピッチの中で相手の疲労度合いは感じていましたか?

「そうですね。連戦ということは聞いていたので、粘り強く戦えれば後半に疲れてくると思っていました」

――相手の嫌がるプレーという部分で背後を狙うボールが多かった印象ですが。

「基本的に僕は裏を狙うボールを出すのが好きなので、特に相手の疲労具合を気にせず、チャンスがあれば、狙っていこうと思っていました」

――今日の5点は次に繋がって行くと思いますか?

「繋げていきたいです(笑)」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「天皇杯2回戦というところで、色んな波乱が起きているこの難しいトーナメントで、自分たちはしっかりと準備をして90分をしっかりとコントロールし、進めていくという中で、攻守の切り替えの早さであったり、ゴール前のシーンをできるだけ作るという目標を持って、今日はここに来ました。先に先制点を許してしまいました。ただ、それ以外にたくさんチャンスを生み出していく中で、逆転できたことは大きかったと思います。ただ、4-1になってから相手のスルーパスやドリブルから1対1を作られ、その後あわやという場面を作られ、なかなかこの試合は締まらないという中で、交代で入った3人が最後に前からプレッシャーをかけて5点目を取ってくれたことは、本当に大きかったと思います。今、ベレーザも(プレナスなでしこリーグカップ)決勝で勝っているみたいなので、ヴェルディファミリーとしてすごく嬉しく思いますし、我々は次の3回戦に進むことで、また良い相手とできるチャンスを得た、自分たちが成長するチャンスを得たと思っているので、すごく良かったと思いますし、この流れをしっかりとリーグ戦に繋げていきたいという思いでいます。遠いところまでサポーターも駆けつけてくれた中、ゴールを見せられたことは非常に良かったと思いますし、しっかりと継続していければなと思います」

――今季最多の5ゴールを記録しましたが、普段の練習の意識付けなど、どういったことが今日のゴールシーン、チャンスシーンを多く作ることに繋がったと思いますか?

「やはり、良い守備、ファーストディフェンスを決めて積極的に前に向かう守備をして、ボールを奪った後も最初のパスでミスがなく、ボールを奪ったシーンの切り替えの速さで、前の選手が良い動き出しをできたことが良かったと思います。ドリブルとパスの判断が、今日は上手くできたと思います」

――二川選手に期待したモノと評価を聞かせてください。

「今日はトップ下のところに置きましたが、非常に守備もボランチを消しながら前に向かう守備を行ってくれましたし、良いボールを二川の足元に入れてあげると、周囲が良い動き出しをしたら必ず背後にボールを出してくれるので、少ない時間の中で決定的な場面を3回も作ってくれるので、そういったチャンスを自分たちが決めていくことが、勝ち点に繋がると思っています。特に今日は判断やファーストタッチが非常に良かったと思います」

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