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MATCH試合情報

2016 明治安田生命J2リーグ 第35節 - 東京ヴェルディ vs ギラヴァンツ北九州

マッチレポート

【試合展開】

前節、FC町田ゼルビアとの『東京クラシック』に敗れ、ダービー2戦2敗という非常に悔しい結果に直面したヴェルディ。終盤戦の残り8試合で仕切り直したいチームは、ホーム味の素スタジアムに最下位のギラヴァンツ北九州を迎えた。スタメンを若干変更したヴェルディは、右サイドバックに安西幸輝を起用し、ダブルボランチは中後雅喜とプロ初スタメンとなる渡辺皓太を組ませた。また、4-2-3-1の2列目の右サイドMFには澤井直人を起用した。

 

前節、立ち上がりの早い時間に失点したチームは、今週のトレーニングで組織的な守備で失点を防ぐという目標を持って取り組んできた。しかし、立ち上がりといってもキックオフして間もない1分に、中途半端な高さになっていた最終ラインの背後にボールを入れられ、小松にペナルティエリアに侵入される。柴崎貴広も間合いを計りながらシュートに備えたが、足を振り切られた強烈なシュートがゴールの隅に突き刺さった。前節は失点直後にリズムを乱して立ち直るのに時間を要したチームだが、この日はマインドを素早く切り替えて冷静さを取り戻してリズムを作るところからスタートした。最終ラインからじっくりと組み立てていき、ショートパスとロングパスを織り交ぜて相手を引き出したり背走させて押し込んだ。リトリートした相手を前にフィニッシュの糸口はなかなかつかめなかったが、その中でもチャンスを作り出す。25分にはバイタルエリアの手前で二川孝広がボールを持つと、左のスペースへと絶妙な強さのグラウンダーパスを通す。スペースに走り込んだドウグラスがこのパスをワンタッチでシュートに持ち込んだが、相手GKが辛うじて触ってポストに弾き返された。この決定機をきっかけにシュートの意識が強くなったチーム。28分に均衡を破る。左サイドで安在和樹がクロスボールをゴール前に入れると、ゴールのファーポストに流れたボールを澤井直人が相手と競り合いながらゴール正面に折り返す。ニアに走り込んだドウグラスはわずかに間に合わなかったが、その後方で二川が詰めて同点ゴールを挙げた。その後も攻め手を緩めないヴェルディは、逆転に向けて一気呵成に攻めていく。35分には相手の背後をとった澤井のスプリントに呼応して二川が絶妙なスルーパス。相手GKと1対1になった澤井だが、シュートはブロックされてしまう。アディショナルタイムに突入した45+1分には、カウンターから同数の状態で渡辺が前を向いて長い距離をドリブル。味方がワイドに開いてスペースを作ると、シュートコースを見つけて右足を強振したが、相手GKに弾き出された。

 

攻め続けながら逆転まで持ち込めなかった前半の終盤を過ごし、冨樫監督は判断力を上げてチーム全体が良い状態でフィニッシュまで持ち込むことを強調して、良い判断と高い精度のプレーをキーワードに選手たちを送り出した。

 

後半に入っても攻勢に出るヴェルディ。相手の攻撃がカウンター単発で終わる中、守備陣は球際で身体を投げ出して勝ち越しを阻止した。そのケアをしながらも両サイドバックを高い位置でプレーさせるなど、チームはリスクを負って前傾姿勢で攻め続けた。しかし、後半に入ると明らかにゴール前に人数を割いて守る相手に対して、攻め手を欠いてしまう。渡辺が折り返しを合わせるだけという場面もあったが、力んだシュートをボールの芯を捉えられなかった。ボールは持つものの、時間が経つごとに攻め手が見いだせずに手詰まり感が漂いはじめる。サイドを起点にして攻める形は見えたが、クロスボールはことごとくゴール前で合わず、中盤からの配球でもワンタッチのプレーが続かずに各駅停車でつなぐ形が目立った。前半と同様に二川が絶妙なクロスをゴール前に入れて澤井が豪快にボレーで合わせる場面もあったが枠を捉え切れなかった。最後の最後までヴェルディが攻め続ける流れは変わらなかったが、ゴール前で網を張る相手を攻略できずにタイムアップを迎えた。

 

最下位のチームとの戦いで勝ち点1という結果は到底満足できるものではないが、残り試合が少なくなってきた中で、苦しい中でも勝ち点を拾っていく姿勢、そして勝利を目指して徹底して攻め抜く姿勢を貫いた。これをゴールという結果に結びつけるべく、今一度トレーニングを積み、次節、順位の近いモンテディオ山形を相手に敵地で勝ち点3を奪う戦いを展開したい。

 

【試合後選手コメント:MF 32 二川孝広選手】

――移籍後初ゴールの感想を聞かせてください。

「何となくボールが折り返されてくる感覚があったので、一応準備はしていました。良いボールが来たので、押し込むだけでした」

――移籍後初ゴールに関して、個人的に遅かったという印象はありますか?

「ちょっと遅いなという感覚はありましたし、善朗から『早くゴールを取ってください』というプレッシャーをかけられていたので、今日取れてホッとしています」

――今日もビハインドからのスタートでしたが。

「立ち上がりで一瞬の隙で、まだまだ足りていないという印象です。自分自身競り合って負けていたので、そのこぼれ球からの失点だったので、僕が勝っていればという気持ちもありました」

――その後は、押し込む時間が長かったですね。

「立ち上がり早い時間帯の失点だったので、落ち着いて自分たちのリズムに持って行くことができたので、後はどんどん後ろから飛び出していく選手もいたので、良い攻撃はできたと思いますが、最後のところで決め切れなかったり、最後のところでズレたりもあったので、良い流れの時に追加点を取りたかったです」

――澤井選手へのスルーパスは素晴らしかったですね。

「結構フリーだったので。その前にも出せるシーンがあって出せなかったので、次はしっかり狙えました」

――澤井選手は決め切れなかったことを反省していましたが。

「そうですね(笑)。 ああいうシュートは苦手らしく、練習から外していると言っていました」

――後半にゴール前で中後選手から足元に良いパスが入った場面もありましたが。

「最初のコントロールが決まらず、足元に入り過ぎてしまい、もう少しうまくコントロールできていれば、シュートまで持ち込めたと思います」

――渡辺選手の起用で前線の厚みが増した印象でしたが。

「そうですね。どんどん前に飛び出して、間で受ける動きをしてくれたので、枚数が増えてより攻撃の幅が広がったと思います」

――試合途中で高木善朗選手に代わってプレースキッカーを務めていましたが。

「ハーフタイムに監督から指示があって代わりました。善朗の調子が悪かったのか、僕にはちょっと分からないです」

―移籍してからここまで多くの試合に出場するイメージは持っていましたか?

「そこまでは考えていませんでしたが、出ている以上、しっかりと結果を出して行きたいという気持ちはあります。なかなかチームの結果も出ていないので、少し不甲斐ない気持ちです」

――後半押し込んだ中で点を取り切れなかった要因をどのように考えていますか?

「なかなか相手の嫌なところを突けないというか、嫌らしい部分にボールが入る回数が少なかったと思います。そういうところをもっと狙っていかないと、単純に足元で繋いでばかりではなかなか崩せないので、そういう部分を増やしていきたいです。前半に関してはできていましたが、もっと増やさないとダメです」

――チームとして決め切るために必要なことはどんなことだと考えていますか?

「最後は個人の部分というか、僕自身もコントロールが上手くいけば、シュートまで行けたと思いますし、そういうギリギリの部分でいかに上手くできるかというところです。思い切りのよいミドルを枠に飛ばせれば、上手く相手に当たって入ることもあるので、そういった思い切りの良さも必要だと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 33 渡辺皓太選手】

――試合を振り返ってください。

「前節みたいに良いところまでボールを運べましたが、点を取り切ることができなかったので、そこは反省すべき点でした」

――開始直後の失点を受けて、どんなことを考えていましたか?

「残り時間もかなりあったので、焦らずに相手も引いてくれたので、本当に最後の部分で決め切っていくことをしていかないとダメですね」

――前半終盤に惜しいミドルシュートもありましたが。

「前節、フリーな場面でシュートを打たず、パスを出してしまったので、思い切って打ってみました。たぶん、枠にもいっていたと思います」

――北九州の守備に対して、どんなところを突いていこうというイメージでしたか?

「チュウさんがバランスを取ってくれたので、自分は前で動き回ってどこにでも顔を出せるようにしていきたいという気持ちでした」

――プロ初スタメンの感想はいかがでしたか?

「試合まで前日から緊張も多少ありましたが、良い緊張感でできました」

――初のフル出場でしたが、体力面はいかがですか?

「ちょっと、最後の場面でもっと前に出なければいけないところで、体力的にキツいところもありました。そこはもっと上げていかないとダメです」

――積極的に前線のプレーに絡めた印象ですが。

「そこは常に意識していて、フォワードとの距離を自分から近くして攻撃の枚数を増やすという部分はできたと思います」

――ボランチでコンビを組んだ中後選手とはどんなコミュニケーションを取っていましたか?

「チュウさんは後ろでバランスを取ってくれるので、自分は気にすることなくどんどん前に出て行っていいと言ってもらっていました。だから、気にせずにプレーできました。守備面に関しては、攻撃の時は前に出ていき、守備ではボランチの位置まで戻って来てほしい、とだけ言われていました」

――監督は試合後の会見で『試合を決めるという部分でもの足りない』とおっしゃっていましたが、その言葉をどのように捉えていますか?

「決め切るところを決め切れないとダメだと思います」

――出始めた当時と今ではプロでプレーするという部分の意識も変わってきたのではないでしょうか?

「最初は何も考えられなかったのですが、今は少し余裕も出てきて、自分で判断できることが多くなっています。そういう面では慣れてきたと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 14 澤井直人選手】

――今日は点に絡むプレーがあった一方、これを決めていればというシーンもありましたが。

「本当にあれだけ自分の中でチャンスがありながら、一本も決めることができなかったことを反省しています。練習でもっと出さないと、ああいうところで決め切ることはできないので、また練習から試合を想定してやっていくだけです」

――前半半ばにゴール前に抜け出した決定機は二川選手との連係がパーフェクトだった印象ですが。

「フタさんにボールが入った時には、絶対に良いボールが出てくるので、自分は動き出すだけですし、そこはコミュニケーションをあまり取らなくても、どんどん出てくるので、もっともっと自分が動いてフタさんにやり易いようにパスを出させるシーンをもっと作っていきたいです。シュート場面に関しては、パスが本当に良いボールでしたし、自分の動き出しもイメージの中で本当に良かったので、単純にあそこを決め切れないとダメです。あれだけ良いボールをくれて、決め切れないと、次にまた同じようなパスが来るか分からないので、そこは一発で決められるようにしたいです」

――後半のダイレクトボレーは相手の寄せが気になった部分もありましたか?

「しっかり寄せて来ましたが、自分の中ではあれをしっかりと決めないといけないシーンです。今日は本当にそういうシーンが多かったので、チャンスに絡めても結果が全てですし、勝ち点3が必要なゲームで決められなかったことを反省したいです」

――それでも、試合を通しての仕事量は多かった印象ですが。

「そこは自分のストロングでもありますし、攻撃だけでなく攻守にわたってハードワークすることが、自分に求められていると思います。今、大事なのは人のためにチームのためにどれだけ選手がやれるかだと思っているので、そこは本当に意識してやっていました」

――後半に関しては攻撃が停滞していた印象ですが?

「相手も前半あれだけ自分たちがボールを持てていたので、後半に向けて対策もしていました。それでも、チャンスを作れた中で、そこで一本でも決めていれば勝てたゲームだったので、あんまり慌てずに後半も攻められていたので、問題は最後の精度だと思います」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「一日少ない準備期間の中、良い分析、選手たちも相手のウィークを突くというところで、ゲームを通して良い場所で受けて、攻撃の起点を作れたのかなと思っています。ただ、あまりにも最初の失点の仕方が情けなかったのと、時間帯も含めて自分たちがそこから2点を取らないと逆転できない状況になってしまったのが、非常に悔しいです。それでも、前半に今回自分たちがテーマに掲げてきた90分間、しっかりとゲームを作っていくという中で先に失点をしながらも、しっかりと落ち着いてボールを動かして相手を揺さぶりながら攻撃し、同点に追いつけたこと。また、そこから一気呵成に自分たちがリスクを管理しながら攻撃に出られて、前半は特にチャンスも作れたのかなと思います。後半はもう一回、自分たちが良い入り方をしてゲームを進めていく中、今度は良いところでボールを受けても、中と外の関係性の中で、外から中に入れるボールの質であったり、また良いところで中、中の縦の侵入の仕方のところで、起点とタイミングのところで合い切らなかったことは残念な点だと思います。シュートは打っているけど、枠には飛んでいない。その辺はすごく歯痒いゲームをしてしまったと思います。残りのゲーム数が少なくなってくると、他のゲームの結果もそうですが、なかなか難しいゲーム、引き分けが多くなるゲームが続いていくと思いますので、自分たちは粘り強くしっかりと勝ち点を、そして勝つチャンスを逃さないで戦えるように、また準備をしていきたいです」

――プロ初先発を飾った渡辺皓太選手の評価を聞かせてください。

「全体的な評価としては、彼に期待している前線とサイド、中盤を繋ぐ距離感であったり、セカンドボールを拾う。そして、散らす。そして、危険なところに入っていくという意味では、90分を通してやってくれました。ただ、良い落としからのシュートのところで、ボールを枠に飛ばせなかったりとか、やはりゲームを決めるというところのプレーでは、年齢に関係なく、自分は勝つための選手を選んでいる中で皓太を入れているので、そこはもの足りないです」

――後半攻撃が停滞した中で高木純平選手を最初に投入した狙いを聞かせてください。

「始めに彼を左サイドハーフに入れましたが、彼が内側に右足で持ってサイドで安在和樹と2対1を作りながら、プラスのボールでペナルティエリアに入る。あるいはゴールを取るというイメージでした。その後、右サイドバックに入れたのは、連動して深い位置から彼の精度の高い右足を生かしてゴールを取りたい。そういう意図で彼には両方のサイドでプレーしてもらいました」

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