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MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第11節 - 東京ヴェルディ vs ツエーゲン金沢

マッチレポート

【試合展開】

前節、敵地に乗り込んだ連戦の初戦で、アビスパ福岡に1-0で惜敗したヴェルディ。仕切り直しの今節は、今シーズン最初で最後の開催となる味の素フィールド西が丘にツエーゲン金沢を迎えた。ここ数試合、メンバーに変化を加えているヴェルディは、今節もスタメンを変更して左サイドMFに安西幸輝を起用し、前線には梶川諒太を置いた。

 

連敗だけは避けたいヴェルディは序盤、慎重な立ち上がりでややボールに対して消極的なところが目立った。徐々にボールを保持できるようになると、左右にボールを動かしながら縦に動くタイミングを模索する。しかし、相手も守備ブロックを固めて隙を作らず、縦パスはFWが追いつかずにラインを割るか、前線のポスト役のドウグラスやアランに収まらずに撥ね返される形ばかり。ボールを自分たちの意志で持っているのか、それとも相手に持たされているのか、少しずつ不安が募り始めていく。そんな中で、25分を過ぎてようやくシュートまで持ち込む場面を作った。26分、左サイドでボールを受けた安西が縦ではなく横へのドリブルを選択し、中央にカットインしながらDFをはがして右足を振り抜く。シュートはGKの正面に収まったが、こう着した展開を打破しようとする安西の積極的な姿勢が表れた。しかし、そこからエンジンがかからないのが今日のヴェルディ。守備からのカウンターを虎視眈々と狙う相手を前に、守備のリスクマネージメントにも意識を割くため、前線に大胆に人数をかけることができない。そのまま、チャンスらしいチャンスもなく前半を終えた。

 

後半、一気にギアを上げていきたいヴェルディだが、一瞬の隙を突かれる。51分、梶川がくさびのパスを受けるもトラップを収めきれずボールロスト。そのままカウンターを受けて自陣バイタルエリアまで運ばれ、畠中槙之輔と佐藤の1対1に持ち込まれると、豪快なシュートが畠中の股間を抜けてゴール左へと突き刺さった。その後、自陣に完全にひきこもる相手を崩し切れず、時間ばかりが過ぎていく。バイタルエリアにボールは入るものの、ポストプレーの次のフォローに入る選手がシュートまでいけない。60分に安在和樹、67分には高木善朗を投入して苦しい展開を打破しようともがき、サイドを徐々に攻略してワイドな展開からゴールに迫るもののシュートを打つまでには至らない。しかし、橋本英郎を投入した直後のコーナーキックから流れが一変する。78分、左からのコーナーキックを途中から投入された高木善が蹴ると、ニアサイドでドウグラスが潰れ役になり、そのすぐ後ろに飛び込んだ井林章が頭で合わせてゴールに流し込んで同点。勢い付くヴェルディ陣営は、沸き上がるスタンドの声援に後押しされて攻勢をさらに強める。そして83分、安在が仕掛けて手に入れたコーナーキックを、再び高木善が今度はファーサイドに蹴り込むと、頭一つ抜け出したアランが頭で合わせてゴール左隅に流し込んで逆転に成功する。その後、ドウグラスが接触プレーで倒れ込むなど終盤に入って荒れる展開になったが、そのまま試合をクローズしてヴェルディが今シーズン初めての逆転勝利で2試合ぶりの勝利を手にした。

 

苦しみながら、飛び道具を生かして逆転まで持ち込んだヴェルディ。本来目指すサッカーを実現できているわけではないが、結果を出すという一点において大きな価値がある勝ち点3になった。中3日で切り替えて前節の敗戦を振り切ったチームは、このまま勢いを維持して、7日にホーム連戦で横浜FCと戦う。今シーズン、まだ結果が残せていない上位直接対決で、しっかりと勝利してまた連勝のサイクルに乗りたい。

 

 

【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】

――試合を振り返ってください。

「攻めあぐねているというか、決め切れない時間が長く、キッカケがあったらなという気持ちでいた中で自分のゴールがキッカケになって良かったです」

――アシストを記録した善朗選手があの場面で目が合ったとおっしゃっていましたが。

「その前のコーナーキックも結構ニアに蹴っていたので、また同じようなところに来ると思っていて、それまでは中かファーよりにいましたが、今度はニアに突っ込んでみようと思っていました。自分のマークもルーズだったところに、ドンピシャのボールが来ました。自分も前が触るか、曖昧だったので何となくでしたが、当たればいいなという感覚でした」

――セットプレーからゴールを奪えたことに関してはいかがですか?

「前節、特にチャンスがありながらセットプレーを決められなかったので、今回2点を決められて、今後自分たちの武器にしていかなければと思います。苦しい試合の時に頼りになるカギだと思いますし、キツい時にセットプレーから1点を取って勝ち切れるチームというのも、シーズンを通して必要になると思いますし、これからもこだわっていきたいです」

――ビルドアップの場面で今日はどこで最も苦戦しましたか?

「相手がマンツーマンで来るので、スペースが空く一方で人は空かないので、厳しめのところにボールを入れないといけないという場面が多かったです。良い時は前線で収まって周りが前向きにサポートしていけますが、相手もマンツーマンで一人ひとりを潰しにくるので、うまくいかない時にカウンターを食らってしまいます。カウンターの場面では前からマンツーマンで来て空きがなく、カジ君も困っていたと思います。それが相手の狙いでしたし、それを剥がせるチームになっていきたいです」

――ここ最近、失点が続いていることに関してはどのように捉えていますか?

「それほど気にしてはいません。やっぱり、ミスもありますし、相手に研究されている立場なので、いかにそこをこじ開けようとしています。今日も前からプレスをかけてミスからゴールを狙いに来ていましたし、サッカーはミスのスポーツで全部を防ぐことはできません。いかに切り替えて結果を残す方が大事だと思います」

――1点目が入るまで停滞感が続きましたが、そこから一気に流れを引き寄せたことは大きかったですね。

「ウチは何かキッカケがないとエンジンがかからないチームなので、早く点が入れば、みんなの士気も上がると思いますが、今日のように何もないとズルズルと行ってしまいます。前節もそうでしたし、そこはウチの良いところか悪いところか、分かりませんが特徴だと思います」

――今季上位相手に勝てていない中で好調の横浜FCとの対戦ですが。

「ホームである以上、自分たちがやりたいことを出していく必要があると思いますが、本当に難しい試合だと思います。横浜FCも失点が少ないので、2失点以上してしまえば、間違いなく勝てないと思うので、とにかく最低でも1失点で抑えないと勝機はないと思います」

――福岡のウェリントン選手と同様に横浜FCにはイバ選手という強力な選手がいますが。

「イバは左利きで足元が巧いので、彼の間合いでボールを持たせてしまうと、一仕事こなせる選手なので、彼にはできるだけゴールから遠い位置でボールを持たせること。特に、シュートが巧いので。あとはフリーキックも良いボールを蹴るので、極力ファウルを犯さないようにしたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】

――途中出場の際に監督からどんな指示を受けましたか?

「コーナーキックを蹴ることと、前からプレッシャーに行くこと。あとはフリーに動いてボールを受けろと言われていました」

――前半の戦況をベンチからどのように捉えていましたか?

「正直、しんどいなと思って見ていました。みんな疲れがあるのか、少ししんどそうな感じが見受けられましたし、暑かったのでみんな90分間もつか、と不安な部分もあったと思います」

――井林選手のゴールをアシストした場面を振り返ってください。

「イバ君と目が合ってここに蹴ってくれという感じでした。1本目ニアに蹴り過ぎたので、ニアには蹴ろうと思っていましたが、イバ君と目が合ってこのラインに蹴ってくれと言われたので、そこに蹴りました」

――アラン選手のゴールをアシストした場面を振り返ってください。

「あそこは平君がニアに飛び込む動きをするなと思い、中が空くと思ったので、いつもより強めに蹴りました」

――難しい展開での試合できっちり勝ち点3を取れました。

「内容が付いてこなくても勝ち点3を取れましたし、逆転できたことはチームにとって大きいと思います」

――ここ最近、相手から研究されているという感覚はありますか?

「チームとしてやることを研究されていますし、個人としても相手が激しく来るシーン。今日で言えば、マンツーマンで付いてくる相手もいたので、そこはよく見られているので、それを上回るプレーを見せていかないとダメです」

――投入直後からかなり気合いの入ったプレーを見せていましたね。

「チームの10番を背負っている中、あの場面で自分が出るということは同点もしくは逆転に導かなければという責任を持って入りました」

――逆転勝利できたことはチーム全体の成長と捉えていいのでしょうか?

「成長というよりは、今日に関しては運が大きかったと思います。成長という部分に関しては内容が上がっていかなければならないです。前半繋げなくて後半繋げるようになったのか、前半上手くいかなかったのに、なぜ後半勢いを持ってやれたのか、そういう部分を個人が試合中に修正していければ、それが成長だと思います」

――今季最初で最後の西が丘で同点に追いついてからは、かなりサポーターから後押しを受けたのではないでしょうか?

「本当に雰囲気は最高でしたし、あのゴール裏に向けて攻めて行くことは選手として一番やりがいがあるので、そこで逆転できたのは自分たちだけの力だけでなく、監督やコーチ、サポーターの方の後押しがあったからこそだと思います。やっぱり、スタンドが近いのでそういう歓声もたくさん聞こえて楽しかったです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 17 内田達也選手】

――試合を振り返ってください。

「後半は勢いもありましたし、やりたい形や良いサッカーができたと思います。ただ、失点だったり、後半に入るまでエンジンがかからなかったことは良くなかったと思います」

――相手のマンマークディフェンスに対して、ボランチはボールを受けるのにかなり苦労していましたね。

「我慢しようと思っていましたが、後半のように初めからボールに絡みたかったです。今日に関しては全員の身体が重かった部分もありました。連戦の中でコンディション的にどんな感じかと思っていた中、今日に関しては悪い意味で見てしまったという印象です」

――後半はビルドアップの場面でボランチ1枚が最終ラインに入って4人の形を形成していましたが。

「前半にやっていた時に自分たちがいつもの立ち位置でプレーした方が、相手が自分たちの動きに合わせて食い気味に取りにくることが分かっていたので、後半は少し下がることでプレッシャーを回避できました。後半はスペースも上手く使えましたし、流れの中で点を取りたかったですが、セットプレーは今のヴェルディの武器でもあるので。コーナーを多く取れたことも良かったです」

――キッカケを掴むまでに時間がかかってしまうという部分に関してはいかがですか?

「課題と言えば課題ですが、僕らもやっている中、なんで上手くいかないのかという、感覚でプレーしている部分もあって、それができれば最初からいけるので簡単ですが、それは一番難しい部分です。自分たちがやりたい形が出せれば、相手を圧倒できているので、どれだけ90分間の中でそれを出せるかが、これからやっていかないといけない部分です」

――逆転勝利できたことは大きな自信になりますね。

「自信になりますし、今日は金沢が途中から受けてくれたので、その中でも良かったと思います。先制されると厳しい感じがずっとあったので、その中で逆転できたことは、これからを考えれば大きいと思います」

――今季上位相手に勝てていない中で好調の横浜FCとの対戦ですが相手の印象はいかがですか?

「とにかく、これからしっかりと見たいです。相手にはイバという強力な選手がいて、この間のウェリントンもそうですが、そういうストロングがあるということぐらいしか分かっていないので、これからきっちり確認したいです。とにかく、上位に勝てれば勢いも出るので、何とか勝ちたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 38 梶川諒太選手】

――試合を振り返ってください。

「前半に相手が前からガンガン来ることは分かっていました。その中で相手を剥がしながらやっていきたかったのですが、決定的なところまではボールを運べなかったです。そこは前の選手として課題です。個人的には相手に引っ掛けられてしまい、そこから失点してしまったので、そこからチームが逆転してくれて感謝しかないです」

――ビルドアップの場面で苦戦した印象ですが。

「空いているスペースもあったので、そこを上手く使えれば、剥がせると思っていましたが、そこを上手く使うことができなかったです。そういう面で難しいと感じました。そこは積極的に前につけていけば、剥がせる部分もあったので、チーム全体で圧力を感じすぎてしまった印象です」

――後半はトップ下の位置でプレーしていましたが。

「間は空いていると感じていたので、そこで上手くボールをもらえれば、ターンやボランチとの関りから前進できると思っていました。そこで上手くできた部分もありましたが、絶対に取られてはいけない場面で取られてしまったので、もっと大事にプレーすべきでした」

――ミスもありましたが、鋭いターンや積極的な持ち運びなどご自身の持ち味も出ていたと思いますが。

「1人剥がせば、チームとして展開が楽になるので、そこは自分の持ち味でもありますし、相手が近くに来ているようで間合いも空いていたので、そこを狙っていました。そのうちの1本から失点に繋がってしまったので、そこはもったいなかったです」

――今季初の逆転勝利で勢いに乗っていけますね。

「自分のミスで負けてしまうのではないかと思っていたので、そういうところでチームに助けてもらい、本当に感謝しないといけないですね。連戦なので次に繋げていきたいです」

――次節は好調の横浜FCとの対戦ですが、ここまでの印象はいかがですか?

「前に強くて巧い選手もいますし、そこで簡単にキープさせてしまうと、苦しい展開になると思います。ただ、上手くビルドアップで剥がしていければ、こっちが主導権を持って戦えると思います。少しロングボールが多いチームという印象もありますが、そこを上手く地上戦でかい潜って戦い、ホームなのでしっかりと勝ち点3を取りたいです」

 

 

【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「いつものようにとても難しい試合でした。試合を支配した時間もありましたが、相手の勢いを持った攻撃に苦しめられました。苦しい時に幸運だったのは、観客の方々の声援があったこと。そのおかげで最後まで戦うことができました。観客の声援によって選手たちは集中力を保つことができました。とても難しい試合を2つのセットプレーでモノにすることができました」

――ハーフタイムに『プレスのかけ方を思い出そう』という指示がありましたが、プレスの面で苦戦したことが試合展開に影響したのでしょうか?

「相手が4枚のディフェンスか、3枚で来るのか、ハッキリしていませんでした。相手が3バックで来ると予想していましたが、それによってプレスがハッキリしないという状況になりました。ハーフタイムにボールを持った際のプレーを修正されましたし、プレスのかけ方も修正されました。ただ、相手のゴールは大きなダメージになりました。私たちはボールを持ってプレーするので、今日のようにボールを奪われて失点に繋がることもあります。こういうアクシデントは私たちのやり方ではあり得ることですし、これからもスタイルを変えません」

――後半から梶川選手をトップ下に置き前線は2トップの形に変更しましたが、その意図を教えてください。

「カジに前半はマンマークで突いてくるディフェンスがいたので、2トップにしてカジやウイングバックに、よりスペースを与えるために変更しました」

――ビルドアップの場面でドリブルなどの持ち出しが少なく、苦しんでいた印象でした。そこで後半にボランチを最終ラインまで下げる形がハマったと思いますが。

「相手がマンマークで来ていたので、ボランチを1枚下げることで横のセンターバックが外から出ていくプレーを狙っていました」

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