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MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第27節 - 東京ヴェルディ vs ロアッソ熊本

マッチレポート

【試合展開】

前半戦の最終戦から数えること6試合。ヴェルディは勝利から遠ざかってきた。後半戦未勝利、7月未勝利という足踏みを続ける中で、この未勝利のスタートとなった試合と同じ相手、ロアッソ熊本との一戦を迎えた。ヴェルディはこの試合、大きな変化を加えた。システムは4-3-3。今シーズン初めて、スタートから最終ラインを4枚にして試合に臨んだ。右サイドバックには田村直也、左サイドバックには安西幸輝を配置。内田達也のアンカーに、シャドーに渡辺皓太と梶川諒太を並べる形。前線には真ん中にカルロス、右に高木大輔、左にアランを起用した。

 

序盤からペースを握ったのはヴェルディだった。相手のスカウティングを挫く新システムの採用により、面食らう相手を勢いのまま押し込んだ。最初のチャンスは2分、左サイドでアランが持ち直して上げたクロスをゴールニアでカルロスがダイビングヘッドで合わせたが、シュートはわずかにゴールの左に逸れた。その後も高い位置でボールを保持し、奪われてもすぐにカウンタープレスでボールを奪って厚みのある攻撃をしかける。この攻守の切り替えが、この試合の分水嶺となるプレーにつながった。11分、マイボールを高い位置で奪われながら、渡辺が素早い攻守の切り替えから相手のバックパスを狙って猛チェイス。ボールを奪うと、追いすがるDFをかわそうと突破を図る。相手がファウル覚悟で渡辺を引っ掛けるが、すぐに立ち上がった渡辺はGKが飛び出したところを見計らってシュートをゴール右隅に叩き込んだ。しかし、レフェリーは笛を鳴らしてプレーオンではなくファウルでプレーを止めてフリーキックからの再開となった。ゴールの取り消しはあったが、ファウル覚悟で渡辺を倒した選手が退場処分になり、ヴェルディは数的優位に立った状態で試合を進めた。20分には渡辺のクロスをカルロスが頭で、40分には梶川のクロスを渡辺が頭で合わせるも、どちらもネットは揺らせない。しかし、相手を終始自陣に押し込み、ほぼワンサイドゲームで前半を終えた。

 

チームは相手のカウンターに最新の注意を払いながら、勝利に近付くためのゴールを得るために細部の詰めを行って後半のピッチに立った。試合展開は前半と変わらず、ほぼ一方的にヴェルディが攻め続ける展開。サイドから、時には中央でくさびを入れて狭いエリアをショートパスで打開しようと試みるが、割り切って守りを固める相手の守備網にあと一歩のところで絡め取られる。後半だけでシュート数は11本を数えたが、そのほとんどがきわどいものばかり。51分にはカルロスのヘディングシュート。68分には渡辺のミドルシュート。77分には途中投入されたドウグラスのミドルシュート。相手GKの好守に阻まれたり、わずかに枠を捉え切れなかったり、88分にはクロスボールがペナルティエリア内の相手DFの手に当たったように見えたが、笛は鳴らず。これにはベンチも総出でハンドを指摘したが覆らず、しかし、冷静にプレーを続けた選手たちが最後の最後に鍵をこじ開けた。89分、田村のアーリークロスをゴールファーでドウグラスが頭で捉え、ゴール右隅に流し込んで決勝点。時間を稼ぎながら勝ち点1でも探っていた相手の希望打ち砕く大きな1点だった。その後はアディショナルタイムの3分を有効に使いながらタイムアップ。

 

未勝利の連鎖に陥るきっかけになった相手を再び迎え、その連鎖を断ち切る勝利を手にした。3位との勝ち点差はわずかに『4』。大混戦のJ2リーグはまだまだこれからだ。この勝利で満足している者はひとりもいない。連戦となる16日の大分トリニータ戦、20日のV・ファーレン長崎戦の九州勢2連戦できっちりと勝利を挙げてこそ、今日の勝利に意味が生まれる。夏の反攻へ、足を止める理由はない。

 

 

【試合後選手コメント:FW 9 ドウグラス・ヴィエイラ選手】

――試合を振り返ってください。

「相手が1人少ない状態で点を取ることはすごく難しいことですし、相手の守備も素晴らしかったですし、難しい試合でした。ただ、最後まで走り、戦い、自分たちを信じた結果、勝つことができて良かったです」

――ゴールシーンを振り返ってください。

「右サイドの田村選手からのクロスでしたが、普段の練習で彼から良いボールが上がってくることが分かっていたので、そういうイメージは持てていました。それが良いゴールに繋がって良かったです」

――ゴール直後にかなり気持ちを見せたセレブレーションもありましたが、あの瞬間の気持ちを聞かせてください。

「とても嬉しかったです。ベンチに居ることは簡単なことではなく、いつでも良い準備をする必要があります。より集中力を持って試合に入らないといけない立場なので、そういう気持ちもあって自分のゴールが勝利に繋がったことを、より嬉しく思っています。そして、興奮していました」

――ゴールシーンの直前に相手のハンドのようなプレーがあった中、集中力を切らさずに良いポジションを取っていましたね。

「あれは、たぶん手に当たっていました(笑)。 ただ、判定に対して自分の意見を言うことはないです。そういうことがあっても集中力を切らさず、ボールが生きている状態だったので、集中できたことがゴールに繋がったと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 33 渡辺皓太選手】

――相手の退場に繋がった決定機の場面を振り返ってください。

「相手がバックパスを出した瞬間にディフェンスと入れ替われると思い、本当は転ばずに行きたかったですが、シュートが決まるというイメージでした。自分は前に出ていくことが特長の一つでゴール前でのプレーも得意なので、そういう良さは出せたと思います」

――これまで使われるプレーに比べて味方を使うプレーが少なかった印象でしたが、今日はうまく周りを使っていましたね。

「いつも周りに使ってもらっているのに消極的になり、何もできずに交代という試合が多かったので、今日はチャレンジしてやろうという気持ちでした」

――出番がない期間にどんなことを考えていましたか?

「外されてから足りないことをよく考えて、一回冷静になれたので、そこは良かったと思います。前に行ってもバックパスとかそういうプレーが多かったので、前を向いてプレーすることが足りないと感じていましたし、練習から意識してやっていました」

――インサイドハーフのポジションでより前向きにプレーできた印象ですか?

「前だとミスはダメですが、後ろにも人がいるのでチャレンジして自分の良さが出せると思っていました」

――プレスバックなど守備面でもアグレッシブさが出ていましたね。

「それは試合前からチームのテーマで、ボールを失った後のプレスは本当に監督から強く言われていて、そこはハマったと思います」

――2ボランチよりも今日のポジションの方が積極的にボールにアタックできる感覚ですか?

「前回対戦では相手のボランチ2枚にうまくボールを運ばれて奪いに行けない場面が多かったので、今日は自分とカジ君でボランチ2枚をうまく抑え込むことができたと思います」

――今日は狭いスペースでボールに絡むプレーが良く出せていましたね。

「やっぱり、間で受けることは得意ですし、カジ君もそこを見ていてくれたので、やり易かったです」

――個人的にやり切った実感はありますか?

「できればフルで動き続けたかったですが、そこはもっと練習で体力を上げていきたいです。プレー面ではここ最近の中ではうまく試合に入れたと思います」

――走り切るうえで今日の天候が味方した部分もありますか?

「個人的に2試合出ていなかったので、全然疲れていませんでした。だから、走れました」

――カルロス選手に惜しいクロスもありましたね。

「前の自分であれば、ああいう場面でクロスを選択することもなかったです」

 

 

【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】

――試合を振り返ってください。

「正直、苦しみ過ぎましたね。点もなかなか取れなかったので。もっと早い時間帯に点を取って優位に試合を進めないといけないです。点を取れず、自分たちで焦ってしまい、結果的に勝てたことは良かったですが、まだまだ詰めの甘さが多いですね」

――10人の相手に決定機を作りながらも0-0で試合を折り返した点に関してハーフタイムはどんな気持ちでしたか?

「あまり嫌な気持ちはなく、良い形も作れていたので、これを続けようと話していました。ただ、後半時間が経つに連れて焦りが出てしまいました」

――後半に関しては前半のように中から崩す場面が減りましたね。

「真ん中を固められて相手に大きなセンターバックになかなか勝てなかったです。ただ、最後にドウグラスが出てきてああいう競り勝つ形でゴールを取れたことは大きかったです。それができないなりにやるべきことはあったと思います」

――サイドからのクロスを生かすためにもう少し中を攻める形があっても良かったと思いますが。

「サイズが大きくないぶん、そういう形をやらないとダメでした。そこはやっぱり反省点です」

――相手のカウンターへのリスク管理はうまくいきましたね。

「相手のやり方がハッキリしていて、1トップが攻め残る形だったので、そこさえ抑えておけば、大丈夫でした。また、抜かれそうな場合、最悪ファウルで止めてもいい、という共通意識がありました。それに関しては良かったと思います」

――相手の安柄俊選手がかなりイラ立っているようにも見えましたが。

「ディフェンスとしては相手をイライラさせたら勝ちだと思うので、それまで我慢し続けていくことが大事です」

――4-3-3の布陣の感触はいかがでしたか?

「正直、今日は例外だと思うので、よく分からないです。とりあえず、今日に関しては勝てたことが良かったので、次に繋げていきたいです」

――前回対戦や金沢戦の影響もあり、今日は球際でよく戦えていましたね。

「今日は涼しかったですし、走らないといけない試合でしたし、システムを変えて前から行くということを意識付けられた試合でした。それが良い方向に出たと思います」

――今日は久々の出場となった渡辺選手が攻守に素晴らしいパフォーマンスでしたね。

「コウタに関しては以前から出ている時もハードワークしてくれていましたし、今日は相手の人数が減った影響もあり、中盤での数的優位から彼の切り替えの良さという部分がより出ていたと思います。次の試合でもそれを出せれば、もっと良くなると思います」

――前回対戦で大敗した相手に勝利し、後半戦初白星を手にしました。これを今後の戦いのキッカケにしていきたいですね。

「これまで勝てなかったぶん、それを取り返せるように次に繋げていきたいです」

――次節はこの時期にとっての難所である大分でのアウェイゲームですが。

「我慢強くやることが大事ですし、相手は攻撃に特長があるチームなので、簡単にやられては勝負にならないので、粘り強く戦っていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 38 梶川諒太選手】

――前半から工夫を凝らした仕掛けが目立っていましたね。

「相手が引いてくること予想できていて、守る部分で必死になっていたと思います。前半に関しては焦れたら負けだと思っていたので、前半のうちに点を取って優位に試合を進めたかったですが、相手を走らすという意味でも外に偏らず、中で突っかけた方が相手も嫌だと思い、コウタがうまく間でボールを受けてくれたので、そこを使いながらジャブのようになったと思います。ただ、ゴールに繋げることができず、残念でした」

――試合開始から4バックでのプレーは初めてでしたが。

「相手が早い時間帯に退場したので、今日の試合に関してはあまり参考にならなかったです。ただ、相手が退場するまでコウキがうまく関わってサイドの裏に抜ける意思も見せていましたし、攻撃の厚みという部分ではサイドバックが上がるぶん、あるとは思っています。そこで崩し切るという部分で僕がボールを受ける形も多くなるので、イージーなミスをしないとか、ターンしながら前にボールを運べれば、もっと良い攻めになると思います」

――前半に関してはバランス良く攻められましたが、後半は相手の修正で難しくなりましたが、どのように打開するイメージでしたか?

「相手が中を締めても中を通す仕草を見せていかないと、相手はすぐにサイドからのクロスに対応できるので、引っかかる場面も多かったですが、常に中への意識を無くさないことが必要だと思っていました。あとは浮き球のパスも精度を欠いてしまいましたが、サイド一辺倒にならないようにしたいですね。最近は少しクロスに頼る場面が多いので、うまく中を使えればという感じです。今日はコウタがうまく中に入ってくれていたので、いつもよりも厚みを作れました」

 

 

【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「今日の試合は彼らに退場者が出た時点で変わりました。それまでは前からプレスをかけてボールを持つことができていました。退場者が出てから相手はリトリートして下がり、組織的な守備を見せていました。ボールを回すことはできましたが、ゴールを奪うのに時間がかかりました。常に相手のカウンターを警戒してリスク管理して攻める必要がありました。センターバック2人はとても集中して彼らにチャンスを与えないようにプレーできていました。苦しみましたが、最後の時間にゴールを奪って勝つことができました。勝利に値するプレーができたと思います。長い間、勝てていないときは自信を失いがちになり、選手は神経質になりがちです。ただ、今日の勝利が選手たちに落ち着きを与えて、またチームが前進するための大きな勝利になればと思っています」

――好パフォーマンスを見せた渡辺選手に期待したことと評価を聞かせてください。

「コウタは私たちにとって非常に重要な選手であり、少し期間が空きましたが、その前にプレーしていた時期も同様に重要な選手でした。少しパフォーマンスが落ちてきていると思い、試合から外していました。彼の特長は相手にプレスをかけられることで、その後に攻撃面では相手のエリアに走り込めるというところです。とてもインテンシティの高い選手で、少しずつ成長して今後ヴェルディにとって今以上に重要な選手になってくれると思います」

――相手の守備をどのように崩すイメージを持っていましたか。

「彼らのようにリトリートして、さらに組織だったディフェンスをするチームに対しては、内側からワンツーで崩すことは難しいことです。したがって、シュートやクロスを使っていこうと話していました。それまでにシュートを幾つか打ちましたが、決めることができませんでした。ただ、ナオヤのクロスとドウグラスのシュートは素晴らしかったと思います」

――ドウグラス選手の得点に関して感想をお願いします。

「ナオヤのセンタリングが素晴らしかったこと。また、コウキにナオヤ、タイラも上がってセンタリングを試みていました。最後のナオヤのセンタリングは素晴らしかったです。相手の身長がある3枚のセンターバックに対して、中で合わせることは難しかったですが、ドウグラスのヘディングは素晴らしかったです」

――ヴェルディらしい崩しではなく、シンプルなクロスからゴールを決めたことに関して意見を聞かせてください。

「個人的に良いチームというのは中からも攻められて、外からも攻められるチームだと思っています。ヨシを入れたことに関しては中から崩すという狙いがありました。内側からワンツー、ゴールに近づいてシュートという崩しを考えていました。同時にアランやドウグラス、カルロスという高い選手がおり、センタリングの巧い選手が揃っているのでそれを活用する狙いもありました。中からも外からも攻められるチームになりたいと思っています。カルロスについてはボールを受けに来て、その後にコンビネーションするのが得意な選手です。チームにボール回しの継続性をもたらしてくれますし、アランとドウグラスという、スペースに飛び出すタイプの選手と別のクオリティを持っており、チームにバ リエーションを与えてくれます。異なるクオリティや能力、特徴を持った選手が前にいれば、相手に攻撃を読まれ辛くなるという部分でとても良いと思っています」

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