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MATCH試合情報

2020 明治安田生命J2リーグ 第12節 - 水戸ホーリーホック vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

真夏の過酷な5連戦の2戦目、敵地でアビスパ福岡に完勝に近い内容で勝利し、FC琉球戦のモヤモヤを払拭したヴェルディ。中3日での連戦3戦目は、敵地に乗り込んで水戸ホーリーホックと戦った。

 

ヴェルディのスタートのメンバーは前節と変わらず、一番のトピックとして、リーグ再開後もコンディション調整のためメンバーから外れてきた大久保嘉人が、実に開幕戦以来となるメンバー入りを果たした。

 

チーム最年長かつ経験値も桁違いの男が待望の復帰を果たしたが、チームの立ち上がりは重かった。球際へのプレッシャーがこれまで対戦したどのチームよりも早く強度も高く、ビルドアップの部分で慌てたのか、ボールロスとしてカウンターを受ける場面が目立つ。3分にはカウンターからゴール前でフリーでシュートを打たれる。11分には相手を押し下げて井出遥也が個人技からシュートを放つが、相手GKの正面に収まる。18分にもカウンターからピンチを招くと、攻守の切り替えが早い相手選手の飛び出しを掴まえ切れず、またもフリーでシュートを許すが、これはわずかに左へ逸れた。前半も中盤を過ぎてからはセットプレーをきっかけに自陣に押し込まれ、高い位置にボールを運べずにクリアしては相手に渡し、また攻め込まれる悪循環に陥る。特に33分のコーナーキックの場面では、何度もゴール前で強烈なシュートを打たれるが、ゴールマウスの前に人数を割いてゴールカバーでなんとか凌いだ。好転の兆しが見えたのは前半の終盤。端戸仁が前線で張らずにややポジションを下げてボールに関わることで、相手のライン間のギャップへボールを入れ、そこを起点にテンポの良いパスワークを取り戻し、相手のバイタルエリアに有効なボールを入れていく。43分には横パスで相手を揺さぶり、佐藤優平がゴール正面でミドルシュートを放つが、惜しくも枠を捉え切れず、0-0で試合を折り返した。

 

どうにもリズムに乗り切れなかった前半から修正すべく、ハーフタイムに指揮官は細かく書く選手の立ち位置を指示。流れを取り戻すキーマンとして、小池純輝に代えて森田晃樹を投入した。

 

後半立ち上がりから、その森田が効果を発揮する。端戸と同じようにポジションを下げながら組み立てに参加し、時にはサイドに流れて起点を作り、チーム全体が押し上がる時間を作る。フリーマンというポジションでの起用に相応しく、前線にとらわれず様々なエリアで起点を作り、味方への適格なサポートでボールを有機的につないでいく。時にはスペースへと抜け出す動きを見せ、57分には、相手DFの背後をとって抜け出したところを後方から倒されてフリーキックのチャンスを作る。59分、このフリーキックを佐藤が直接狙う。鋭く曲げたボールは一度壁に当たったが、勢いがあるボールはコースを変えて相手GKの逆を突いてゴールに流れ込んだ。前半の苦しい時間帯を考えると、想像もできなかった先制点の奪取は、チームに自信と勢いをもたらした。その後も面白いようにボールがつながり、水戸のプレスを丁寧にはがしていく。64分には相手のギャップを突いて左サイドアタッカーの福村貴幸がゴール前にフリーで抜け出してシュートを打つが、惜しくもブロックされてしまう。81分には森田の巧みなボールコントロールがカウンターを生むと、山本理仁がドリブルで仕掛けて足を振る。一度は撥ね返されたボールを端戸が拾うと、相手DFを外して右足でシュートを打つが、惜しくも右ポストを叩いた。

 

その直後、ヴェルディベンチが動く。82分、端戸に代えて大久保を、佐藤に代えて澤井直人を投入する。86分には井上潮音に代えて山下諒也がピッチに送り込んだ。この采配がピタリとはまる。投入直後は守備に走った大久保が、徐々にゴールに近いエリアでボールに絡むと、ラストパスや自ら抜け出してシュートを打つなど、短い時間の中でチームに流れをもってくる。およそ15分弱のプレー時間の中で他の選手との違いを示し、ともすれば逃げ切り目的で腰が引けるチームを前線に引っ張り、攻め切って時間を使う形でリードを守る。そして90+4分、大久保を起点に山本を経由して山下が相手の背後を突く。持ち味のスピードで仕掛けた韋駄天は、ゴール前まで持ち込んだところで落ち着いてGKが手を出しにくいコースにシュートを叩き込みプロ初ゴール。守備固めではなく攻め切ることで勝利を確実にした。

 

敗色すら感じられた前半の劣勢を撥ね返し、自らの修正力で試合の流れをもう一度自分たちのところに引き戻した。この修正力に自信を深めることができれば、この先も続く連戦の中で苦しい局面が訪れても、ピッチに立つ選手たちの経験値で乗り越えることができる。また、守り切る時間帯にあっても高い位置へとボールを運び、フィニッシュで攻め切って逃げ切る選択を示した大久保の復帰は大きい。彼がもたらすチームの戦い方の深みは今後の楽しみだ。まだ強くなれる。もっと面白いサッカーができる。この連勝で、ヴェルディはさらなる成長の可能性を示した。

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監督コメント

永井 秀樹 監督

試合を振り返ってください。
連戦が続き、大変なスケジュールが続く中でしっかりとプレーしてくれたことをまず嬉しく思います。あらためて素晴らしい選手たちだなと感じました。前半の30分ぐらいまでは相手のプレスに少し押し込まれる時間帯、流れではありました。距離感や立ち位置を少し変えることで、そこからは少し自分たちのサッカーになってきたなと思います。後半はハーフタイムに伝えたことをきちんとやってくれましたし、交代で入っていく選手も非常に仕事を理解し、きちんと相手と相談しながらやってくれたと思います。いよいよ、真打登場と言いますか、(大久保)嘉人が帰ってきて、さらにチームに強烈で強力なパーツが加わったことで、またここから今日も素晴らしいパフォーマンスをしてくれましたが、さらに良くなってくるという部分で楽しみです。 また、今日は山下選手がJリーグ初ゴールということで、彼も練習生として春のキャンプ、年末からの参加でしたが、聞くところによると、J3の他のチームからも話があった中、それでもヴェルディでやりたいという気持ちで練習参加を続けてくれた選手でした。練習からトレーニングマッチまで自分のストロングを見せ続け、普段のトレーニングでも100%で取り組んでくれています。やっぱり、そういう選手がきちんと結果を出すんだという気持ちですし、サッカーの神様はやっぱりいるな、とあらためて感じさせられました。本当に今日は選手たちがよくやってくれたところに尽きます。

前半の飲水タイムに多くの選手に声をかけていましたが、藤田選手にはどのような指示を出していたのでしょうか。
基本的に相手の布陣についてです。我々は相手の布陣によってビルドアップの立ち位置や運び方が変わるので、少しその部分の修正を伝えました。また、特に大事になってくるあのリベロのポジションにおいて、彼のポジショニングが1メートルずれるだけで全体も変わってしまうので、少し細かく伝えました。

後半から投入し、貢献度が高かった森田選手に関して求めた役割を聞かせてください。
まずは中盤で数的優位を作りたかったこと。あとは相手のボランチ2枚がウチのアンカーと井出のところに付いていたように見えたので、あのボランチが本来いるべきダブルボランチのスペースをフリーマンである(森田)晃樹が使えという指示でした。そこからハーフラインを越えた際には、もちろんセンターバックの背後を狙い続けるようにと伝えました。彼にはユースの時から指示しているのと同じ内容ですし、彼は誰よりも理解しているはずなので、本当によくやってくれたと思います。

思い通りの時間帯が少なかった試合で今日の勝ち点3の価値は非常に大きいと思いますが。
自分の理想は高いですし、非常にこだわりも強いですが、今日のゲームに関しては前半の30分と後半のトータルで15分ぐらいでした。それ以外は自分の中でもまずまず合格点でした。もちろん、90分通して80%のゲーム支配をしていきたいという点では少しもの足りない部分もありますが、こういうゲームをきちんと失点をゼロにする。そして、きちんと取るべき時に仕留めるという形で終われたことは、このチームの成長を感じる部分です。攻撃陣、中盤の選手もそうですが、何よりも最終ラインが90分間集中を切らさずに本当によくやってくれたと思います。それを強く感じています。

開幕戦の出場以来、戦列復帰に時間を要していた大久保選手の怪我に関して話せる部分で教えていただけますか?
今日、明日で回復するような怪我ではなかったです。これでもメディカル側ときちんと話をしながら、やっとと言いますか、嘉人の気持ちの中では『もう壊れてもいいので使ってほしい』ということは、ずっと言ってくれていました。ただ、壊れてしまうのは我々にとって非常に痛手となるので。ここからさらに嘉人が加わることで、このチームの質が上がることは間違いないので、彼の活躍を楽しみにしたいと思います。

大久保選手の試合の終わらせ方はさすがという感覚でしたが。
今日の試合前のミーティングの最後は、嘉人のあれはワールドカップ前のコートジボワール戦の映像を使わせてもらいましたが、ワールドカップにも出た選手ですし、Jリーグでも3年連続得点王を獲った選手なので、当然このサッカーをよく理解していますし、我々が言うところのゲームデザイン、試合の終わらせ方、そして仕留め方をよく分かっている選手ですし、本当に最後のところは彼に任せて安心して見ていられました。素晴らしかったなと思います。

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選手コメント

FW48山下 諒也

プロ初ゴールの感想を聞かせてください。
素直に嬉しい気持ちと、ホッとした気持ちの両方があります。

プロとして結果を残さなければいけないという部分がホッとした気持ちに繋がっているのでしょうか?
やっぱり、自分のポジションでは結果が重要ですし、結果が付いてこないといけないと思っていました。今日こうやってゴールを決めることができて嬉しかったです。

ゴールシーンに関してシュートの際に意識した点を聞かせてください。
キーパーの頭の横の手が出づらいところを狙いました。

その前にもボックス内で決定機がありましたが、大久保選手からパスがほしかったという感覚でしょうか?
全力で走って行き、あそこで仕留める気持ちでしたが、パスが来ませんでした。ちょっと悔しかったですし、正直なところパスがほしかったです(笑)。

投入の際にはどんな指示を受けていましたか?
相手の右サイドハーフの選手がドリブルの得意な選手だったので、まずはしっかりと戻って守備をしてから、どんどん前に出ていくようにとの指示を受けていました。

試合全体に関してはどのような印象を持っていますか?
ピッチの外から見ていた時点では水戸さんが結構前からプレッシングに来ていた中、いつもに比べてボールを持つ時間は長くなかったですが、その中でもチームとして攻撃面でやれているところはあったと思いますし、色々なシーンがありました。試合を通してはそういうシーンを90分間作り出していくことが大事だと思います。

相手のハイラインに対してスペースを突くご自身の特長が生きる形に見えましたが。
ベンチにいる段階から自分が出た際にどういうプレーをするのかというイメージを持ちながら試合を見ていました。常に背後を狙う意識でピッチに入りました。練習からパスの出し手の選手と意識をすり合わせながら、個人としてパスを要求したり、チームとしてもスペースに走り込んでいくプランがあるので、今日はそれを試合で上手く出せて良かったです。

展開を考えれば、もう少し早いタイミングでの投入を予想していたのではないでしょうか?
それは監督が判断することだと思いますし、自分は与えられた時間の中で結果を残していくことだけしか考えていません。長い時間ではなかったですが、その中でも結果を出すことができて良かったです。

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FW13大久保 嘉人

久々の実戦をプレーしての率直な感想を聞かせてください。
今日は時間制限を決められていましたが、その中で少ない時間でしたが、試合に出られたことは自分にとって大きいかなと思います。やっぱり、久々のプレーは気持ち良かったです。上から見ていて早くプレーしたいと思っていたので、時間は短かったですが、チームのために走ってサッカーすることはこんなに気持ちの良いことなのかと思いました。

現時点でのコンディションを聞かせてください。
50~60%という感じです。

復帰に向けて思ったよりも時間がかかったという印象でしょうか?
ふくらはぎだったので、慎重にいかないといけないというのは、ドクターも言っていたことですし、自分もここまで休んだことがなかったので、よく分からない部分もありました。

試合勘が戻ってくれば、いよいよ本領発揮というところでしょうか?
あの時間帯に入って感じましたし、上から見ていた時にもやっぱりJ1とJ2の差はすごくあるなと思いました。このヴェルディのサッカーをやれれば、昇格できると思っています。

リードした時間帯の投入の中で意識した部分を聞かせてください。
とりあえず、時間も時間だったので、同点にされないことを考えながら、どういうふうに試合を運んでいくのか。その中で空いたスペースがあれば、追加点を狙いにいくということを考えていました。

そういった中で山下選手がダメ押しのゴールを決めてくれました。
途中から入ったこともあって、向こうのチームのプレスのスピードが遅かったので、山下がボールを受けに来ましたし、そこに預けてやれば、彼のスピードであればいけると感じていました。その中でアイツが決めてくれたので良かったです。

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MF14森田 晃樹

前半の難しい展開を受け、どのような形で流れを変えていこうと考えていましたか?
前半を見ていた時にフリーマンの(端戸)仁君が中盤に落ちた際に相手のセンターバックが出てくることは分かっていたので、そこを狙いつつ自分が裏を狙いつつ、できれば下がってボールを受けてリズムを作れればいいなという気持ちで入りました。

ご自身がボールを引き出すことでチーム全体のボールの動きがスムーズになった印象ですが。
相手選手も迷う部分もあったと思いますし、自分があそこにいるだけで周りの人の負担が減るかなと思い、なるべく自分がボールを受けて流れを変えようという意識はありました。前半の人たちがやり続けてくれたことで、相手が自分のところに付き切れない部分もあったと思います。前半に関してはなかなか上手くいかない部分もありましたが、自分が入って流れを変えられたことは良かったです。

ボールの動きを円滑にする役目だけでなく、チャンスメークなど持ち味を発揮する動きも目立っていました。
そうですかね。ただ、前の試合に比べてボールに絡めましたし、ミスも少なかったので、そこは個人的に良かったです。

ご自身でシュートを狙える場面もありましたが。
何回かチャンスはありました。ただ、チームが勝てたのでそこは良しとしたいです。

悪い流れを自分たちの力で引き戻しての勝利はチームとして自信になると思いますが。
そうですね。その通りだと思います。ベンチメンバーを含めて良い準備ができていましたし、流れを変えることができたのは、必然だと思います。

次はホームでの松本山雅FC戦ですが、ホームでも勝利がほしいところです。
アウェイで連勝することができたのは、だいぶ大きいですが、ホームでまた勝って3連勝できるように頑張りたいです。

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