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2023.02.18 トップ

Match Preview & Column #1

Special Column

『新しいヴェルディ追求の旅路へ』

Jリーグ30周年の節目であり、きっとあのきらびやかな開幕戦の映像がまたたくさん流れるだろう。

それも見据えた話もしながら、ヴェルディの指揮を執って2年目を迎える城福浩監督はこう話している。

「自分たちは、『“新しいヴェルディ”をつくる』と、言い続けなければならないんです」

過去の栄光を消し去りたいという意味ではない。

サッカーファンの記憶にはまだ輝かしいヴェルディの陰影が残っている。Jリーグ開幕から数えると、J2暮らしのほうが長くなった現在。サッカーの内容面での進化は急加速しており、以前と同じものを目指していても未来はない。それに、経営規模もJ1級とは言えない。いまの立ち位置で、J1 に戻るために。そしてその先の定着を見据えて。城福監督はチームビルディングを行ってきた。

過去の記憶を塗り替えるほどの、“新しいヴェルディ”を作る──。

クラブとしても、3年計画の3年目。強化の結実と、結果を出すために戦うことを明言した。ボール保持率にこだわるのではなく、相手陣でサッカーをすることへのこだわり。スキのない守備と、機を逃さずにゴールへ迫る攻撃……。観る者も、プレーする選手たちも感激するサッカーの構築へ。

219日の味の素スタジアムから、新しいヴェルディへの追求がリスタートする。

(文 田中直希・エルゴラッソ東京V担当/写真 近藤篤)

Match Preview vs ツエーゲン金沢

『守備面での手応えは十分、点を取り、開幕戦勝利へ』


2シーズン目を迎える城福ヴェルディは、昨季の終盤ラスト6連勝で証明した、攻守の切り替えでより強さを発揮する『リカバリー・パワー』をベースとし、さらなるスピードとインテンシティを求めてチームづくりを進めてきた。「チームが大きく崩れるような、不安定な状況を作ってきたつもりはない。おそらく、隙のない試合が最低限やれると思っている」と、城福浩監督も自信をのぞかせる。

開幕戦、まず注目は新加入選手との融合だろう。今季はここまで4-3-3布陣をベースにしているように見えるが、齋藤功佑、宮原和也、北島祐二、綱島悠斗などが早い段階から主力組に入り、それぞれの持ち味でチームに新たな強みを生み出している。この先、昨季からのメンバーとどのような化学反応を見せていくのか、シーズン通して楽しみにしていきたい。

対戦相手のツエーゲン金沢は、昨季2連敗を喫している相手となる。「同じチームに3連敗するわけには行かない」と指揮官。「恐れることなく自分たちのサッカーをいかにできるか」を大事な鍵とした。開幕前に行ってきた何度かの練習試合でも、守備面での手応えは十分掴んできただけに、あとは「いかに点を取るか」と選手たちも重々受け止めている。攻撃の形をどれだけ多く作れるかがポイントになりそうだ。

また、大きなアドバンテージになりそうなのが、ホームで開幕戦を迎えられることだ。声出し応援も解禁されただけに、バスケス・バイロンは「『開幕でファン・サポーターと一緒に戦えるのは、すごくパワーになる。チームのみんなも楽しみにしています!」と早くも興奮顔だ。

「球際などの戦うところ、基礎的な走るところを大事にしているので、本当にアグレッシブなサッカーができると思う。見てて感激するような、熱くなるような試合を見せます」。森田晃樹キャプテンの誓いを合図に、待ちに待った2023シーズンがスタートする。

(文 上岡真里江・スポーツライター/写真 松田杏子)

Player's Column

『与えられた役割の意味を自覚している』ー 谷口栄斗

2023110日の新チーム始動日、勢揃いしたメンバーの中でひときわ存在感を放っていたのが谷口栄斗だった。身体は昨年よりも一回り厚みを増し、その表情は、プロ一年目の昨季に34試合出場を果たして掴んだ自信と今季の更なる飛躍への渇望からだろう。精悍さで満ち満ちていた。

二年目ながら、今年を自身、チームとも「勝負の年」と位置づけている。「上を目指すには必要なこと」と、オフにはパーソナルトレーナーをつけるなど積極的に自己投資をし、心身ともに鍛え上げてきた。そこには、個人の成長はもちろん、チームの中心選手としての並々ならぬ自覚が秘められているのである。

 昨季の主力戦力から、DFンドカ・ボニフェイス(横浜FC)、馬場晴也(コンサドーレ札幌)、チーム得点王のFW佐藤凌我(アビスパ福岡)と、攻守の中心を担っていた三選手がチームを去った。「正直、あの三人が移籍してしまったことが、自分に自覚というものを芽生えさせてくれました。去年はボニくん(ンドカ)と多くの試合でコンビを組んでいて、ボニくんがリーダーシップをとってくれていたことで、僕は伸び伸びとプレーができました。今年はそれを自分がやらなければいけないと人一倍思っています。自覚を持って、チームの中心としてやっていきたい」。

城福浩監督からの信頼も非常に厚い。6連勝で昨シーズンを締め括ったが、ラスト5試合はいずれも無失点。谷口はその5試合すべてでセンターバックとして先発フル出場していた。「あの時は、失点をしないという自信もありました。それはもちろん、DFだけではなくて、前線の選手から全員がラインを高く上げて、相手陣でサッカーをしていたというのが大きかったと思います」(谷口)。もう一度、城福監督就任当初のサッカーに立ち返り、その中でチームとしてしっかりと結果が出たことも、大きな手応えにつながった。

さらなる上積みを目指す今季は、始動から強度を求められている。「ボールを奪いに行くスピードや局面、局面の戦いというところは、去年よりもチームとしても成長している部分だと思います。ここからより一層高めていきたいです」。

また、昨季のチームの反省だった失点の多さ(リーグワースト7位/ 55失点)に対しても、センターバックとして大きな責任を感じている。「ラインのコントロールは継続してやるのはもちろんですが、クロスの対応のところを今年はすごく重点的にやっています。なので、クロスの場面では絶対に失点しないようにしたい。それと、まずは無失点の時間を長くすること。そして、無失点の試合をより多くしたいと思います。今シーズンは、無失点にこだわります」。

副キャプテンにも指名された。キャプテンは、ジュニア時代からともに切磋琢磨してきた1歳下の森田晃樹が努める。育成が大きな強みである東京ヴェルディというクラブにおいて、「アカデミー出身の自分がと晃樹がこういう立場に指名されたことがどういう意味を持つのか。その意味を自覚しながら務めていきたいと思います」。

少年時代、トップチームの選手にどれほど憧れたことか。その中心を担う存在がアカデミー出身選手であることに、どれほど勇気づけられたことか。

自らが身をもって実感してきたからこそ、今、夢や希望を与えられる立場となったことの重要性をしっかりと受け止めている。森田キャプテンとともに、クラブの未来を背負って全身全霊で闘っていく。

(文 上岡真里江・スポーツライター/写真 松田杏子)